伝統と変革

 新年、あけましておめでとうございます。
 旧年中は格別のご厚情を賜り、誠に有難うございました。
 島原オフィスを開設し丸3年が経とうとしています。これもひとえに皆様のお陰であり、心から感謝申し上げます。

 昨年同月の挨拶を読み返してみますと、東京オリンピック・パラリンピックによる経済効果を期待することを書いておりましたが、新型コロナウイルスが全世界的に類を見ない暗い影響を及ぼしたのはご承知のとおりです。この挨拶を執筆している今も、全国的な一定期間のGoToキャンペーンの停止、一部地域では飲食店へ再度の時短営業要請が報道されています。今年はWITHコロナに応じた生活様式の見直しとワクチンの開発で、明るい年になることを願うばかりです。

 昨年11月に長崎県が発表した「島原半島要覧」(3市合計)によれば、自然動態(出生―死亡)は平成23年に△1,000人を超え、直近の令和元年は△1,269人となっています。一方、社会動態(転入―転出)も平成9年以降一貫して転出超過で推移しており、ここ数年は600 ~ 800名の減少となっています。高校生の3市外への進学就職、卒業後のUターン者数が少ないことが主な要因です。
 半島の主要産業である観光業は、6月こそ県民市民向けの割引施策によって大きく持ち直したものの、4~5月は多くの施設の臨時休業が相次ぎ、4~6月期の宿泊客数は対前年同月比71.5%の大幅減となりました。諸外国の多くが検疫強化対象となりインバウンドもほぼ皆無となったことで、同じく4~6月の外国人宿泊客数は対前年比96.7%減と、平成20年の調査開始以来最大の減少率となっています。半島内の主要観光施設の利用者数も、軒並み70~90%減と大きく減少しました。

 一方で明るい話題もあります。
 半島は農業産出額が県全体の43.2%(平成30年度)を占める県内随一の農業地帯です。しかし、その整備率は27.0%と低く、丘陵地で細分化された耕地が分散している状況です。県が推進する農地基盤整備が順次進んでおり、整備が完了した範囲では作付面積が1.3倍、耕地利用率が200%程上昇し、その結果農業所得が4~7割増え、就農者が増加しているとのデータがあります。その効果により、地域の児童数は横ばい、出生率は上昇しました。
 半島には豊かな自然、文化、歴史を背景とした観光資源と、多くの特産品を有しています。一昨年10月に「ガイアの夜明け」で放送された「にっぽんの宝物」グランプリ。世界でもレベルの高い日本の農産物ですが、高齢化、後継者不足、消費者のニーズに対応ができず、いいものを生産するだけでは生き残れない現状において、地方の生産者と異業種をコラボさせ、無名の農作物を売れる商品へ生まれ変わらせる取り組みが紹介されていました。雲仙市でメロンを栽培して200年続く農家、生産800個が限界で客は地元常連客のみ。そこへ創業100年を超える地元酒蔵とコラボし、メロンの奈良漬とメロン酒カクテルを考案。大会では準優勝でしたが、バイヤーやホテル関係者から高評価を得て販路が拡大したそうです。
 地理的にはハンディがあり、社会情勢は逆風の吹き荒れる環境ですが、コロナウイルスの影響でデジタル化が進み、遠隔地でもできることがあるということが分かりました。既存のいい伝統、変えてはいけないものは守りつつ、変える必要があることには柔軟に対応できる力が求められます。そして、行政には頑張る地場企業の支援にさらに力を入れて欲しいと思います。

 丑年は「我慢(耐える)」や「発展の前触れ(芽が出る)」を表す年だそうです。まさに今年を象徴していると思うのは私だけでしょうか。皆様の事業がコロナ禍を耐えて、これから発展することを祈念し、私どもはそのお手伝いに全力を尽くして参ります。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

 

【島原オフィス所長 兼 長崎オフィス 税務相談室室長 内田 尚生】
【『月刊 アップ長崎・島原』2021年新年号 島原オフィス所長年頭ご挨拶より】


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