真価が問われる経営者

 早いもので今年も師走となりました。皆様お元気でお過ごしでしょうか。今年は「新型コロナウイルス」(以下コロナ)に振り回された一年でした。寒くなるとインフルエンザの流行も懸念され「ダブル感染」に注意が必要です。長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授は「ウイルスという観点では新型コロナもインフルエンザも同じだが根本的に違うのはインフルエンザにはワクチンがあること、インフルエンザの予防接種はぜひ受けて欲しい、ウイルスの感染予防には手洗い、マスクの着用、三密を避ける、換気、という基本は同じなのでぜひ守って欲しい」という話をされていました。12月は忘年会や慰労会のシーズンですがウイルス感染防止策の徹底が必要だと思います。ちなみに弊社は、恒例の年末慰労会は中止しました。

 経済(経営)に与えるコロナの影響については様々な意見があります。現在の不況は「複合不況」で、①コロナショック②資産バブルの崩壊③金融システムの動揺で、金余りが実需とかけ離れた地価上昇を招き企業業績と連動しない株価上昇を招いている、資産バブルが崩壊すれば資金を供給している金融機関にも影響がある、こういう見方が有力なようです。元日本銀行副総裁(現日興リサーチセンター理事長)の山口廣秀氏は「コロナ前の水準に戻るのは、民間の経済調査機関の見通しの平均では2023年末頃とみられている、全治3年」と言われました。信用調査機関の長崎県内の企業に対する「コロナに関するアンケート」では、①企業活動に影響を及ぼしているか?の質問には、現在影響が出ている58%、今後影響が出る30% ②前年同月比売上高は?の質問には約60%減 ③支援策を利用したか?の質問には、実質無利子融資の利用36%、持続化給付金の利用25%、雇用調整助成金の利用17% ④廃業を検討する可能性は?の質問には87%の経営者が「ない」。以上の結果から、コロナの影響は確実に出ているが経営者は制度融資を利用しながら事業の継続に必死に取り組んでいることがわかります。弊社でも多数のお客様の融資支援をさせていただきました。

 コロナの影響を受けて患者減=収入減になっている某開業医は、外来患者との会話の時間を増やして患者の家庭環境、家族関係、心情、生い立ち等々の情報を収集して今後の診療に活かすように努力されています。「今回のコロナは経営的には大変だが患者との距離感が近くなり信頼関係を築くきっかけになった」と言われました。また某介護施設ではコロナ感染防止のために入居者と家族との接見禁止を実施したところ、双方にストレスが溜まり、特に入居者の認知症が悪化した、リモートを活用しての接見を試みたところ症状が治まり家族のストレスも緩和された、接見を禁止している他の介護施設入居者家族から入居相談が増えた、との話も聞きます。ピンチをチャンスに変えた事例です。

 全治3年と言われる今回のコロナ不況です。金融機関はいつまでもコロナ融資は出来ないと思います。中小企業経営者はウィズコロナを想定した事業計画を策定し資金確保を考えなければならない時期です。中小企業の良いところは小回りが利くことです。大きな組織は変革に時間がかかりますが、中小企業なら素早くビジネスの転換に取り組めるはずですし、それが出来ない中小企業は生き残ることが困難です。ウィズコロナ時代にやれることは必ずあります。今まで経営してきた経験、知見を生かして事業化することが重要です。今こそ経営者の真価が問われます。

 会計事務所は定期的にお客様を訪問しますので様々な業種の様々な情報が入ってきます。同業他社だけでなく、他業界の事例が参考になることもあります。私たちはお客様に有益な情報を提供していきたいと思います。
 今年も大変お世話になりました。来年も何卒お引き立てのほどお願い申し上げます。良いお年をお迎えください。

 

【代表社員税理士 内田 延佳】
【『月刊 アップ長崎・島原』2020年12月号 代表巻頭言より】


>その他のUP!12号の記事については、下記をダウンロードしてご覧ください。
UP!2020年12月号
UP!2020年12月号-特別編