逆風に強い会社とは!

 陽春の頃となりました。皆様お元気でしょうか。春は別れと出会いの季節です。人生で忘れがたい思い出となる卒業式や入学式が新型コロナウィルス感染症対策のために保護者や在校生抜きの参加者を制限して行われる事態になりました。

 また政府は小中高の一斉休校にも踏み切り子育て家庭にも大きな影響を与えています。定年退職者送別会や新入社員歓迎会を中止する企業も多くなりました。政府の初動遅れが感染の拡大と社会の混乱、そして経済にも大きな影響を及ぼす結果となりました。株価の低迷も消費者心理に悪影響です。新型コロナの感染拡大でヒトやモノの行き来が止まり、企業の目の前から売上が消えてしまっています。新型コロナは世界中に急速に拡大してウィルスの変異も想定されます。「未曾有の経済低迷を招く可能性は否定できない」「リーマンショッククラス以上」という経済学者もいます。「毎日、自分の命の危険とも隣り合せで仕事をしている」とイタリアの医師は訴えています。医療従事者の献身的な働きには頭が下ります。

 中国や韓国等からの入国制限措置もあり外国人旅行者が急速に減少しています。昨年の訪日外国人による消費額は4兆8113億円と過去最高を記録しました。うち中国は36.8%を占めて首位、韓国と香港を合わせると計52.8%に上ります。中国人観光客が多かった長崎も大きな影響を受けています。観光に限らずサプライチェーン(供給網)も中国に集中依存しすぎるリスクを見直す契機になるかもしれません。また世界経済が混乱するとスムーズな輸出入が困難になる可能性もあります。特に日本の食料自給率は40%以下、モノ不足には何とか我慢できても食糧の輸入が停滞し食べ物が不足すれば生命にもかかわります。まだまだ解決すべき課題が多い日本です。

 売上減少には財務が弱い企業ほど影響が大きい、財務が強い企業は逆風を乗り越える力があります。財務が強い企業とは「自己資本比率」が高い企業のこと、自己資本とは簡単にいうと「返さなくてもよい資本」のことです。貸借対照表(バランスシート「B/S」)の「資産-負債=純資産」を想定してください。この純資産額を増やしていくと結果として総資産に占める純資産の割合が高くなる、経営の王道です。開業される経営者への私の助言は「事業は継続することが一番大切です。継続するために自己資本比率を高くしてください。そうすれば倒産しにくい会社になります」です。自己資本比率を高めるための基本は効率の良い経営を行い毎期着実に利益を計上してくことです。
 10数年前に営業出身のA氏が独立開業されたときにも同じことを助言しました。10年経過したときにA氏が財務資料を持参して来社され「自己資本比率が70%になり実質無借金経営になりました」と報告を受けたときは感無量でした。
 経営に対する考え方はいろいろとありますが自己資本比率を高める経営も選択肢の一つです。例えば10億円を投資して工場(B/S)を建設して3千万円の利益(損益計算書「P/L」)を出す甲社と、1億円を投資して工場(B/S)を建設して1千万円の利益(P/L)を出す乙社を比較するとき、利益の絶対額では甲社が良いのですが効率性では乙社が良いのです。投資の効率性も自己資本比率に大きく影響します。ちなみに、業種によって異なりますが一般的には自己資本比率が70%以上は超優良、40%~69%は優良、20%~39%は普通、0~19%は要努力、マイナスは債務超過会社、です。

 私たちは主として税務・会計・財務を通して、また主業務に付随したサービスも提供しながらお客様の健全経営にお役に立ちたいと思います。新型コロナ対策の資金支援策が政府から出されています。弊社の担当者と相談しながら難局を克服していただきたいと思います。
 時節柄皆様のご健勝を祈念申し上げます。

 

【代表社員税理士 内田 延佳】
【『月刊 アップ長崎・島原』2020年4月号 代表巻頭言より】


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