2019年も今月までとなりましたが、今年は日本にとって平成から令和へと時代が変わる節目の年となりました。近年には無かった譲位という形で5月1日に今上天皇が第126代天皇に即位され、対外的に即位を宣言される即位礼正殿の儀が10月22日に行われました。

「社員を守るルール」が会社を守る時代

 この即位礼正殿の儀と同日に行われる予定だった祝賀御列の儀、いわゆる即位パレードが11月10日に延期となりましたが、その原因は10月12日に上陸した台風19号でした。この台風19号では全国で100名近い方が亡くなり、8万戸を超える住宅が浸水等の被害を受けました。その前の8月末には九州北部も大雨に見舞われ、大きな被害を出したことは記憶に新しいと思います。地球温暖化の影響でしょうか、近年、日本は毎年のように大型台風や大雨災害に見舞われているように感じます。気象に限らずとも、2016年の熊本地震、そして2011年の東日本大震災といった地震リスクは日本にいる限り逃れられないものです。
 天災は忘れた頃にやってくる、と言いますが、確率は低くとも被災は経営の大きなリスクとなりますので、何らかの備えは必要です。最近、複数の大手生命保険会社が長崎市内の拠点を「第二本社」と位置づけ、非常時に本社機能を代行できる体制を取るようになりました。災害などの非常時に備えた業務継続計画(BCP)の一環として、東京が大震災に遭っても影響を受けず、元々地震が少ない長崎の地理的要因が評価され、本社機能のバックアップ拠点として選ばれたようです。

 このように大企業はBCP に真剣に取り組んでいますが、中小企業で損害保険以外に「災害への備え」をしているところは少ないと思います。実際問題として、大企業のように本社機能を代行できる人材や設備を他に用意しておく、といったことは人材面からもコスト面からも困難でしょう。
しかし、これだけ災害が多い日本ですし、社員への安全配慮義務も強く求められる時代です。今年の台風19号やその後の21号の際は、出勤に対する会社の対応がインターネットで槍玉に上がっており、昔はよくあった「前日のうちから会社の近くのホテルに泊まる」はブラック企業、「気を付けて出社して」と通知するのも出社前提なのでアウト、「各自の判断で出社」も責任転嫁でブラックに限りなく近いグレー、と責められています。災害時の対応を誤ると、思わぬ批判を受ける可能性があります。大企業のBCPほど大げさではなくとも、災害時の基本的な対応ルールは、安全配慮義務に反する(と言われてしまう)対応をしないためにも、災害時に迅速に対応するためにも、作っておいたほうがいいと思います。

 ちなみに弊社も災害への備えは大して無いのですが、一応非常時の対応として以下のようなルールや制度を制定しています。

・社員が緊急時に受信できるメールアドレス(プライベートや携帯電話のメールアドレス)の事前収集と、非常時に一斉発信するシステムの構築
・台風時は、暴風圏内では出社やお客様への訪問などの移動を禁止
・雪の場合は、ルート上に積雪があれば出社やお客様訪問などの移動禁止
・インフルエンザは本人が罹患したら熱が下がった2日後まで出社禁止、家族の罹患が判明したら在宅勤務

 本当に大したものはないのですが、以前はこのルールすら決めていなかったため、非常時の連絡に時間もかかりましたし、台風や積雪時に社員が「仕事を休む」という判断がしにくかったと思います。簡単なルールでも、決めておけば社員が安心して休むことができますので、ありそうな事態についてはルールを決めておいては如何でしょうか。

 来年は東京オリンピックが開催されます。ラグビーワールドカップでは、日本を訪れた多くの外国人の皆さんが日本を楽しんだようですので、オリンピックではさらに多くの方に楽しい思い出を作っていただきたいですね。
 2019年はお世話になりました。2020年もアップパートナーズグループを何卒、よろしくお願いいたします。皆様、良いお年をお迎えください。

 

(長崎オフィス所長・社員税理士 内田佳伯)
(『月刊 アップ長崎・島原』2019年12月号 所長巻頭言より)


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