10月から消費税が10%へと上がりましたが、影響はいかがでしょうか?
 この原稿は増税前の9月に書いていますので予想でしかないのですが、今回は消費税導入後3回目の税率アップであり納税者にも「慣れ」があること、政府も増税による消費冷え込み対策を多く準備しており増税後のほうがお得になるケースも多いこと等から、消費面での目立つ落ち込みは無いのではないか?と思っています。むしろ、併せて導入される軽減税率制度や、ポイント還元制度スタートによって急増するキャッシュレス決済対応など、事業者側の戸惑いのほうが大きいかもしれませんね。

売上よりも利益に着目を

 とはいえ、長期的には増税の影響は消費に影を落とすかもしれません。そうでなくとも、人口減少により市場が縮小することは確実です。以前よりも、売上を拡大することが難しい環境となっていると思います。

 かつて経営者は、いかに売上を拡大したか、で評価されました。薄利多売が経営戦略の主流であり、売上さえ拡大すれば利益は付いてくる、と考えられていました。売上第一で経営を考える風潮は、今に至るまで続いているようです。
 しかし、この考え方はどんどん成り立ちにくくなっています。売上の拡大自体が難しくなっていることもありますが、それ以上に問題なのは、売上を拡大すればするほどコストが上昇する傾向にある、ということです。
 これまでは仕事さえ取って来れば、社員がサービス残業したり、非正規雇用者を臨時雇用することで対応できました。しかし今後は、残業させたら高い残業代を払わなければなりませんし、アルバイトの時給も下手をすると正社員より高くなります。無理をして売上増をすると、変動費が急激に上昇するということです。
 こうなると、売上だけを追いかけるのではなく、自社ができる仕事量を見極め、その範囲内でいかに利益を出すか、ということが大事になります。経営の数字は「売上」ではなく「利益」に着目する必要があります。自社のキャパシティを超えた仕事を取ってきた場合、売上は増えても利益は減少となる可能性があります。

 8月に、象徴的なニュースがありました。ファミリーマートが土用の丑の日のウナギ関係商品を予約販売にしたところ、売上は2割減となったものの廃棄コストが8割減となり、店舗の利益は7割増えたというニュースです。この取り組みの発端は食品ロス対策だと思いますが、売上が下がっても利益が出るならよい、という発想があってこそだと思います。同じくコンビニ業界では24時間営業の見直しも話題ですが、これも発端は過重労働問題であっても、深夜営業を採算という観点から考え直す風潮があってこそ検討されるようになったのであり、背景には売上第一から利益重視、生産性重視への考え方のシフトがあると思います。
 来年4月から働き方関連法が中小企業にも適用となりますので、中小企業も同じように考え方のシフトを迫られ、限られたキャパシティの中で、どの仕事を請けるか、どの商品を売るのかを選択する必要が出てくるかもしれませんね。

 長崎は10月7日から9日まで、諏訪大社の秋祭り「おくんち」が行われますが、長崎では、この「おくんち」が終わると涼しくなると言われています。過ごしやすくなると同時に、気温の変化で体調を崩しやすくなりますので、皆さん体調管理にはお気をつけください。

 

(長崎オフィス所長・社員税理士 内田佳伯)
(『月刊 アップ長崎・島原』2019年10月号 所長巻頭言より)


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