消費税増税への対応

 7月21日の参院選では、与党が一定の議席を確保しました。これにより、大規模災害などが発生しない限り、令和元年10月からの消費税増税実施が確実となりました。
 消費税の標準税率は8%から10%になりますが、食料品など一部の商品は8%に据え置かれる軽減税率も導入されます。実は、同じ8%の消費税であっても、軽減税率対象としての8%と、契約のタイミング等により引き上げ前の税率が適用された8%では、経理上は別々に扱います。さらに、2008年3月以前に契約したリースなど5%が適用されるものもあったりするので、消費税に関する経理処理は非常に複雑化し、手間もかかるようになります。
 消費税には課税売上高5,000万円以下の場合に利用できる簡易課税制度というものがあり、これまでは本則課税と簡易課税のどちらを選ぶかの判断は税額の多寡のみで行ってきましたが、今後は消費税の区分処理が簡素化できるというメリットも判断材料になってくるかもしれません。なんとも面倒なことになりました。

 軽減税率の対象となるかどうかの判断基準が摩訶不思議であることは、皆様も報道等でご存知かと思います。店頭で購入した食品を、店内で食べるか持ち帰るかで税率が変わる、といった話は有名ですね。他にも、以下のような例があります。

 ・ミネラルウォーターは8%だが、水道水は10%
 ・生きた魚(活魚)は8%だが、生きた牛は10%
 ・料理用の重曹(ベーキングパウダー)は8%だが、掃除用の重曹は10%
 ・オロナミンCは8%だが、リポビタンDは10%

 一応、基準としては「食品表示法」に記載されているものは8%となります。リポビタンDは食品表示法の対象ではなく医薬部外品として扱われるので10%なのですね。

 食品以外にも、新聞の定期購読での販売は軽減税率の対象となりますが、これについても紙の新聞であれば8%、しかし定期購読であっても電子新聞であれば10%です。これは、紙の新聞は「モノの販売」ですが電子新聞は「閲覧権」というサービスの提供料だから、という理屈だそうです。理屈はわかりますが、感覚的には釈然としませんね。
 仕方のないことですが、役所が理屈で決めるルールと一般常識での感覚に開きがあるので、このようなわかりにくいことになってしまいます。軽減税率は経理だけの問題ではなく、小売業などではお客様から「なぜこれが10%なんだ?」というクレームに対応しなければならない、といったリスクも考えられます。他にも、前回の消費税増税時と同様に、「消費税還元セール」はダメだが「10 月から10%割引セール」だと大丈夫、といった微妙なルールもあったりするので、本当に面倒なことになりました。

 消費税増税への対応についての情報は、弊社からも随時提供させて頂きますので、10月までの1カ月半、十分に準備をなさって下さい。

 8月に入り、暑い日々が続きます。皆さん、体調にはお気をつけ下さい。

(長崎オフィス所長・社員税理士 内田佳伯)
(『月刊 アップ長崎・島原』2019年8月号 所長巻頭言より)


>その他のUP!8月号の記事については、下記をダウンロードしてご覧ください。
UP!2019年8月号
UP!2019年8月号-特別編