諸行無常、新しい時代を見据えて

 4月に入り、徐々に暖かい日が増えてきました。今年最初の桜の開花宣言は3月20日で、平年より4日早かったとのこと(ちなみに昨年は平年より7日早い3月17日でした)。最初に開花宣言が出たのは長崎で、長崎が日本一早い開花宣言となったのは41年ぶりだそうです。これから約一か月かけて、桜前線が九州から北海道に北上していくことになります。北と南で季節が一か月違うのですから、日本も狭いようで広いですね。

 4月から新入社員を迎えた会社もあるかと思います。弊社でも4月から5名の新入社員を迎えました。終身雇用は廃れつつあるとはいえ、新入社員の一生に大きく影響を与える「初めての会社」になりますので、大切に育てていきたいと思います。とはいえ、平成も二ケタになる頃に生まれた若者ですので、昭和生まれの先輩とはジェネレーションギャップも大きいです。今は「ゆとり世代」を通り越して「さとり世代」と呼ぶそうですが、先輩が、自分が受けたものと同じような教育をしても上手くいかないようで、教える側の意識改革が必要ですね。

 3月19日に、十八銀行と親和銀行が合併し2020年10月に発足予定の新銀行の名称が正式に発表されました。新名称は「十八親和銀行」とのことです。
 昨年9 月の小欄にて私は新銀行の名称について「羅列することも考えられますが、どちらを先にするか揉めそうなので、私は全く新しい名前を付けると予想しています」と書いていたのですが、見事に外してしまいました。
 「地域から愛されなじみのある両行の名前を残した」とのことですが、名称はこれまで築いてきたブランドの象徴でもありますので、残すに越したことはないと思います。十八と親和、どちらを先にするかについて揉めたであろうことは想像に難くないですが、今回の合併はFFG 主導ですので、最後はFFG が決定したのでしょう。
 これまで「十八銀行」「親和銀行」として長崎県民に親しまれてきた銀行が、今後は「十八親和銀行」として地域経済を支えていくことになります。賛否両論、紆余曲折があった合併劇でしたが、FFG グループとしての経営支援力で長崎県の経済を活性化してくれることを期待します。

 3月21日、大リーグで活躍してきたイチロー選手が引退を発表しました。「50歳まで現役を続けたい」と仰っていましたが、45歳での引退となりました。
プロスポーツ選手も経営者も、定年はないので自分の引退は自分で決めなければなりません。それまで人生を賭けてきた世界から引退するのですから、簡単な決断ではないと思います。
 スポーツ選手の場合、身体的な要素が大きいので、選手としての能力の衰えを自覚しやすいでしょう。また競技ですので明確な成績が出ます。常に自分のパフォーマンスを客観的な数字で突き付けられます。自分自身の状態がわかるので、引退の判断は比較的しやすいかと思います。

 一方で経営者は、体力も大事ですが経験や人脈などの要素が大きいです。体力は年齢とともに衰えるでしょうが、経験や人脈は増えていきますので、経営者として衰えたのかを判断することが難しいです。業績という成績も示されはしますが、スポーツのように毎回同じ条件でパフォーマンスを競うわけではないので、成績=経営者としての能力、とも言い切れません。自分が経営者として衰えたのかどうかがわからないので、引退を決断するのがスポーツ選手以上に難しいと思います。自分のことだけを考えて判断すればいいスポーツ選手と違い、社員を抱える経営者の場合は事業の継続を考えなければならないので、後継者がいないから引退できない、というケースもあるでしょう。

 経営者の引退時期については、自分で「何歳まで」と決める方が多いように思います。引退時期を決めると、後継者を育てるタイムスケジュールが立てられますので、スムーズな事業承継が期待できます。後継者がいない方でも、引退時期を決めることで早くからM&Aを検討し、時間をかけて慎重に買い手企業を選ぶことができます。引退時期を決めていない方の場合は、病気入院などをきっかけに急な引退となることがあり、その場合は事業承継が難しくなります。

 二代目以降の経営者の場合、自身の経験も踏まえて40代のうちから自身の引退時期を視野に入れている方も少なくありません。事業承継は、準備期間の長さと成功率が比例します。事業を引き継いでいきたい、と考えておられる経営者の皆様は、まず自身の引退の時期について考えてみてはいかがでしょうか。

 4月1日に新元号が「令和」と発表されました。いよいよ「平成」という一つの時代が終わり、新しい時代が始まります。新しい世代が入社し、新しい銀行が登場し、名選手がバットを置きました。時間は流れ、環境は変わり続けています。この令和という時代をどのように乗り越えていくのか、数十年先までの道筋を考える良い機会かもしれません。

(長崎オフィス所長・社員税理士 内田佳伯)
(『月刊 アップ長崎・島原』2019年4月号 所長巻頭言より))


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