今年の夏は猛暑、大雨、台風の繰り返しで大変な天候でしたが、9月に入って朝夕はずいぶん涼しくなってきました。これから少しずつ過ごしやすくなっていくのでしょうね。

敢えて火中の栗を拾ったトップの責任感

 季節の動きに釣られたのか、金融業界にも動きがありました。2016年2月の基本合意以来、公正取引委員会からの「懸念」もあり、なかなか話が進展しなかった十八銀行、親和銀行の地銀二行の合併問題に対し、8月になってようやく公正取引委員会の承認が下りました。合併に向けて詳細が決まるのはこれからでしょうが、方向性が決まったことで、両行も地元企業も覚悟を決めて対応に動き出すことになるでしょう。

 皆様ご承知の通り、今回の銀行合併という話の背景には、金融機関の経営環境の変化があります。短期的にはマイナス金利政策による収益低下、長期的には人口減少による地域経済の縮小に伴う支店網維持の困難化、資金調達手段の多様化による競争環境激化、日進月歩のIT 化に対応するために増大し続けるシステム投資など、中小規模の金融機関が現状のままで生き残るのは非常に困難な経営環境であることは明白でした。
 そうはいっても、両行とも4~5年はこのまま経営できるはずです。そして、その頃には今の頭取は引退し、新しい経営陣に代替わりしているでしょう。何もせずとも「逃げ切る」ことができたにもかかわらず、銀行内外からの反発があることを覚悟の上で、敢えて火中の栗を拾うかの如き「合併」の決断を下した銀行トップの勇気と責任感には、頭が下がります。

 弊社もちょうど10年前に、長崎市の内田会計事務所と伊万里市の菅村経営のふたつの会計事務所が経営統合をして成立しました。統合前に1年ほどかけて統合後の組織体制や各種制度、評価制度や役職名にいたるまで擦り合わせを行いましたが、いざ統合してみると、表面的な制度だけでなく、「社風」といったものに由来する大小さまざまな相違点があり、非常に苦労したことを覚えています。

 十八銀行、親和銀行の両行も100年以上の歴史を持ち、同じ長崎県内のライバル地銀として切磋琢磨してきた間柄ですので、合併を進める中で多くの苦労があるかと思います。しかし、合併する方針が決まった以上は、お互いの違いを許容して、良い部分を取り入れ合い、地域経済を支える金融機関として力を発揮していただけると期待しています。

 ところで、合併後の新銀行の名称はどうなるのでしょうね。どちらかの名前に偏ることはしないでしょう。かつて統合した三菱東京UFJ 銀行のように、もとの銀行名を羅列することも考えられますが、どちらを先にするか揉めそうなので、全く新しい名前を付けるのではないかと私は予想しています。長崎銀行はすでにあります。旧国名の肥前は、九州ひぜん信用金庫と類似しますし、肥前国は長崎県のほかに佐賀県を含みますので、佐賀銀行からクレームがありそうです。地域を表すなら西九州や西海といった言葉もありますね。
 弊社名の「アップパートナーズ」は社員からの公募と投票で決めましたが、新銀行の行名はどんな想いを込めたものになるのでしょうか。発表は恐らく再来年の統合時でしょうね。今から予想しつつ楽しみにしたいと思います。

(長崎オフィス所長・社員税理士 内田佳伯(『月刊 アップ長崎・島原』2018年9月号 所長巻頭言より))