本誌が皆様のお手元に届くころには、梅雨明け遠からじといったところですね。皆様お元気でしょうか。
6月20日夜、昭和57年(1982年)7月23日の長崎大水害を彷彿(ほうふつ)させる「猛烈な雨」に見舞われました。当時、長崎市内では深さ1~2メートルの冠水となり、死者・行方不明者299名の大惨事でした。その夜は浜口町の料理屋2階でお客様・銀行との懇親会でしたが、帰宅できたのは翌朝のことだったのを思い出します。
7月10日の第24回参議院議員選挙では、「アベノミクスの功罪」と「憲法改正」が主な争点だったようです。
消費増税が延期され「やはり!」といったところでしたが、すべてが喜ばしいとは限らない面もあります。国債1千兆円の返済や消費増税を財源にしていた社会保障充実策など、課題だらけです。
一方、「国民投票によるイギリスのEU(欧州連合)離脱の可決」は、上り下りの坂とは違い予測不能な坂…「まさか!」の出来事だったと思います。事の成否は長期的に現れてくることでしょうが、短期的な経済的影響として心配なのは、『イギリス通貨・ポンドへの信頼度低下→円高の加速→輸出産業を始めとする諸産業の不振→日本企業の価値低下→株価下落』です。
このような激動の中、国家として舵取りを行う国会議員を選ぶのは、他ならぬ私たち国民です。「国民のレベル→議員のレベル→地方・国のレベル」です。私たちの子供や孫が安心して住むことができる「世界に誇れる日本」であれるよう、議員・政党ともに注視するようにしたいものですね。
少子高齢化と言われる日本ですが、高齢化は中小企業の経営者にも及んでいます。東京商工リサーチによる2015年11月時点のデータを紐解いてみましょう。
まず、全国の中小企業経営者の平均年齢は60.8歳であり、事業承継が大きな課題になっています。また、経営者年齢と業績との相関では、経営者が若年であればあるほど「増収増益」企業の比率が高い、赤字企業率では社長が70歳以上の企業群が最も高い、との報告です。「増収増益」の比率は最高が30歳以下で37%、一方、「減収減益」の比率は最高が60歳代で27%、次いで70歳代、50歳代と続いています。
年齢が若い経営者ほど柔軟な発想で時流に乗り、事業を拡大する可能性が高いということなのかもしれません。
取引先・従業員・地域社会など、企業には多くの関係者が存在しています。経営者の最も重要な責務は、世代を越え事業を永続させることです。アップパートナーズグループには、多数の事業承継の専門家や提携金融機関による資金バックアップ、会計事務所ネットワークによる情報網など、経営支援に役立つあらゆる有形無形の資源がございます。是非活用していただきたいと思います。
以下は、あるコンサルタント会社による講義内容の要点です。
- 経営者の仕事とは「決めること」同時に「捨てること」
- 経営者が最初にする仕事は「定義」すること、その目的は「幸せ」と「成功」を実現すること
①仕事:自ら決める行動・アクション…これこそが経営者
が行うべきことです。
②作業:既に決まっている行動・アクション
③深堀り:仕事の本質を探ること
④幸せ:人によって価値観が異なる。価値観とは好き嫌い。価値観が明確で現実に手に入れている状態が「幸せ」
⑤成功:幸せで且つ周りから幸せに違いないと認められている状態が「成功」。また周囲に価値観の共鳴する仲間がいる状態。
「決断」を通じ、「幸せ」と「成功」をもたらし続ける企業をたえず追求して参りましょう。
会計事務所を設立・経営して36年になりますが、経営者としても人間としても未熟さを感じており、日々努力が欠かせません。
今年も猛暑になりそうです。御自愛ください。
(代表社員税理士・内田延佳 『月刊 アップ長崎』2016年7月号巻頭言より)