昨年12月に令和3年度税制改正大綱が閣議決定されました。今回からその概要を3回に分けてお知らせします(法人課税編、個人課税編、資産課税編)。
今年度の税制改正大綱はコロナ禍においての厳しい経済状況を踏まえ、税負担の軽減措置、デジタル化の推進などが盛り込まれています。

1.デジタルトランスフォーメーション(DX):投資促進税制の創設
 産業競争力強化法の改正を前提に、同法の計画について認定を受け、ソフトウェアの新設もしくは増設、その利用に係る費用(繰延資産)、器具備品・機械装置(ソフトウェア・繰延資産と連携して使用するもの)の支出をした場合、以下の措置が講じられます。

(1)取得価格の30%の特別控除、または、3%の税額控除の選択適用
(2)繰延資産の額の30%の特別控除、または、3%の税額控除の選択適用

 いずれも、グループ外事業者とデータ連携する場合の税額控除は取得価格の5%となります。なお、税額控除については法人税額の20%が上限です。

2.新規雇用拡大の推進:人材確保等促進税制
 新規雇用者(新卒・中途採用)の給与等支給総額を前年度より2%以上増加させた場合、その給与等支給総額の15%が税額控除されます。但し、雇用者給与等支給額の増加額が上限、税額控除については法人税額の20%が上限です。
なお、上乗せ要件として、教育訓練費が前年度より20%以上増加した場合はさらに控除率が5%上乗せされます。

3.所得拡大促進制度の見直し・延長
 要件が見直され、給与等支給総額(企業全体の給与)が前年度より1.5%以上増加した場合、給与等支給総額の増加額の15%が税額控除されます。こちらも税額控除については法人税額の20%が上限です。
 なお、上乗せ要件として、給与等支給総額が前年度より2.5%以上増加して、次のいずれかを満たす場合は給与等支給総額の増加額の25%が税額控除となります。

(1)教育訓練費が対前年度比10%以上増加
(2)中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実になされていること

4.中小企業設備投資税制の延長等
(1)中小企業経営強化税制について、適用期限が2年延長されます(令和5年3月末)。M&Aの効果を高める設備として「経営資源集約化設備(D類型)」が追加され、即時償却または税額10%(資本金3,000万円超の中小企業者等は7%)が控除されました。

 なお、M&Aの効果を高める設備として「経営資源集約化設備(D類型)」が追加されました。経営資源集約化設備とは、「計画終了年度に修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたものに限る)を実施するために必要不可欠な設備」をいい、経済産業省資料では具体的な取組例として、「自社と取得した技術を組み合わせた新製品を製造する設備投資」や「原材料の仕入れ・製品販売に係る共通システムの導入」が示されています。

(2)中小企業投資促進税制は商業・サービス業・農林水産業活性化税制を取り込む形で制度を一本化した上で、こちらも適用期限が2年延長されます(令和5年3月末)。

 特別償却30%または税額控除7%(資本金3,000万円超の中小企業者等は特別償却のみ)のいずれかを選択適用、対象業種に不動産業・物品賃貸業・商店街振興組合等が追加されました。

5.中小企業者等の法人税の軽減税率の延長
 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例制度適用期限は引き続き2年延長されます(令和5年3月末)。

(1)大法人(資本金1億円超の法人)軽減なし
(2)中小法人(資本金1億円以下の法人)年800万円以下の所得金額 23.2%→19%に軽減(本則)。さらに、租税特別措置において15%に軽減

 コロナ禍の厳しい状況ですが、ポイントはやはり社員採用、賃上げ、設備投資です。計画や気になる事項がありましたら、担当者までお気軽にご相談ください。

【長崎オフィス 税務相談室 主査 福田敏夫】
【『月刊 アップ長崎・島原』2021年3月号】


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