平成30年7月に相続に関する民法等の改正が行われ、相続法において約40年ぶりの大きな見直しとなりました。この改正は相続“税”法の改正ではなく、遺産分割についてのルールを定めた民法の改正です。(不謹慎な話ですが)人間であれば相続はいつか発生するものですから、今回の改正は誰にでも関係がある話、とも言えます。
 今回の主な改正項目は、配偶者居住権、自筆証書遺言、遺留分、特別寄与料……等が挙げられますが、今回は「自筆証書遺言制度の改正」と、それに関連して「公正証書遺言」についてお話しさせて頂きます。

 遺言書にはいくつか種類があり、通常は①自筆証書遺言、または②公正証書遺言のどちらかで作成されている場合がほとんどです。今回の民法改正では、①の自筆証書遺言について要件が緩和されています。
 自筆証書遺言は名前の通り、「日付・全文・氏名を全て自署・押印」する遺言書のことで、財産目録に至るまで自署にて作成します。それが今回の改正によって“財産目録については自署に限らず、パソコン等による作成も認められる”ようになりました。これは今年の1月から施行されており、それ以降に作った自筆証書遺言には適用されます。
 自筆証書遺言は、作りたい時にいつでもどこでも、費用を掛けずに出来ることがメリットです。しかし、紛失・隠匿・改ざんの恐れがあることや、形式が不十分で遺言書が無効になることがよくあります。また、自力で書いたが故に文章・書き方・表現が曖昧となり、残された家族がどう対処していいか分からない、ということで相談に来られる方もおられます。今回の改正は、これらのデメリットに対する解決には繋がっていないとも考えられます。
 実務ではこういった事例が多いことから、私たちが遺言書作成のお手伝いをさせて頂く場合は、②の公正証書遺言方式をご提案しています。自筆遺言と比べると費用と手間はかかりますが、公証人と一緒に作成しますので、無効となることは殆どありません。また、自筆遺言では必要となる検認手続(家庭裁判所にて遺言書を開封する手続)はありませんので、相続発生後の手続もスムーズです。

 余談ですが、一昨年の7月に音楽家の平尾昌晃さんが79歳でこの世を去ったあと、相続人である前妻の子どもたちと再婚相手の間で発生した相続トラブルについて、ご存じの方も多いのはないでしょうか。亡くなった方の財産をどう分けるかについては、有効な遺言書があればその内容が優先されますが、無い場合は相続人間で遺産分割の協議を行います。平尾さんの場合、遺言書が見つからなかったため、数十億あると言われている財産について遺産分割協議をすることになったと考えられますが、今でも折り合いがついていないようです。この事例は遺産分割以外にも色々と問題がありますが、せめて遺言書があったら、ここまで長引くことはなかったのではなかろうかと、個人的には思います。

 財産を遺す方の想いがきちんと受け継がれていくために……私たちアップパートナーズグループがお手伝いさせて頂きます。何かご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。

(税理士法人アップパートナーズ 相続・事業承継グループ 横田 彩乃[M&Aシニアエキスパート・相続診断士])
(『月刊 アップ長崎・島原』2019年6月号)


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