皆様、こんにちは!
 令和元年、新しい時代の幕が明けました。若い頃は明治・大正・昭和が主流でしたが、これからは昭和・平成・令和の時代となり、私自身が昔で言うところの明治生まれのような存在なのかと、時代の移り変わりを感じています。
 今年度の税制改正は2月号で概要、3月号で個人版事業承継、4月号で法人課税編をお届けしてきました。今回は個人課税編です。

①住宅ローン控除の特例の創設

 消費税率10%が適用される住宅取得等について、2019.10.1 ~ 2020.12.31までの間に居住の用に供した場合、現行10年の控除期間が3 年延長されます。一般住宅の場合、以下の何れか少ない金額が税額控除され、控除しきれない額は個人住民税から控除(上限13.65万円)されます。

イ 住宅借入金等の年末残高(上限4千万円) × 1%
ロ (住宅の取得等の対価の額-対価の額に含まれる消費税額) × 2% ÷ 3
※認定長期優良住宅等の場合は上限5千万円

 現行8%と新税率10%の差2%が延長された11~13年目の3年間で控除され、理屈では増税分と同額が控除されることになりますが、10年以上も先の話であり、個人的には、1~ 3年目に控除率を割増した方がインパクトもあるのではと思ってしまいます。また、年末残高によっては差2%を控除できないケースもあるでしょう。

②住宅取得等のための資金に係る贈与税非課税制度の拡充

 消費税率10%で住宅取得等の契約をした者への贈与について、非課税枠が大幅に拡充されています(図参照)。受贈者は20歳以上(前年の合計所得2千万円以下)、贈与者は受贈者の直系尊属で年齢制限はありません。

○非課税枠                                    (単位:万円)
※上記は、良質な住宅用家屋(耐震、省エネ、バリアフリーの基準を満たした住宅)向けの非課税枠
 上記以外、一般住宅の非課税枠は500万円減。

 なお、この制度は贈与税の「暦年課税(基礎控除110万円)」、「相続時精算課税(特別控除2,500万円)との重複適用が可能です。従って、それぞれが最大で贈与時に3,110万円、5,500万円まで無税での贈与が可能です。

③空き家に係る譲渡所得の3千万円控除の特例の見直しと延長

 空き家の増加による治安や景観の悪化、災害時の倒壊等が大きな社会問題となっており、2016年度改正で新設された特例です。譲渡する空き家は被相続人が相続開始直前まで居住していることが要件でしたが、今回の改正で被相続人が要介護認定等を受け、かつ、相続開始直前まで老人ホーム等に入所している等一定の要件を満たす場合も、特例の適用が可能となりました。期限は2023年12月末まで4年延長されます。
 但し、その空き家について一定の使用がなされることが要件として明記されており、老人ホーム等と自宅を行き来するような場合を想定しているものと考えられますが、具体的な例はこれから明らかになっていくでしょう。

④ふるさと納税の見直し

 知名度も上がり全国に浸透した制度でしたが、行き過ぎた返礼品の過当競争で趣旨を逸脱した事例が見受けられるようになったため、ついに規制がかかりました。
 対象となる自治体は総務大臣の指定により、返礼割合は30%以下、地場産品とする要件が定められました。今年6月以降に支出した寄付金からの適用のため、5月末までの駆け込み寄付が予想されます。なお、返礼品は一時所得として課税の対象となります(弊社では寄付額の30%を収入として計算していますが、50万円の特別控除があるため、他に保険満期等の所得がない場合、寄付額が166万円を超えなければ所得は生じません)。

 この他には、教育資金及び結婚子育て資金の一括贈与非課税措置の2年延長、受贈者の所得制限、対象となる教育資金の見直しが行われています。全体的には減税の要素が多いように見えますが、上記④以外は適用できるケースは限られており、ここ数年の個人所得税は富裕層への課税強化が目立ちます。
 一方、法人税率は減税傾向で、一定の所得がある個人事業主の方は消費税の免税規定も勘案し、法人成を検討されてはいかがでしょうか。お気軽に担当者までお尋ねください。

(島原オフィス所長 兼 長崎オフィス 税務相談室室長 内田尚生)
(『月刊 アップ長崎・島原』2019年5月号)


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