今年も残り僅かとなりました。この記事は11月中旬に執筆していますが今年は暖冬との予想です。寒さが苦手な方には有難いことでしょう。個人的には夏は暑く、冬は寒いほうが季節を感じられて好きですが、何れにしても来る新年は心身共に健やかに迎えたいものです。

 毎年この時期、12月号は確定申告に関する話題をお届けしています。今回は、①医療費控除(事例が多い)、②ふるさと納税(関心が高い)、③国外財産調書、財産債務調書(富裕層への税務当局対応)についてお伝えします。

①通常の医療費控除は、1年間の医療費の合計が年間10万円(所得200万円以下の者は所得の5%)を超えた額が所得控除(最大200万円)として差し引かれます。また、昨年からセルフメディケーション税制が施行され、健康維持、疾病予防のため一定の取り組み(健康診断、予防接種等)を行う個人がスイッチOTC医薬品(外装に表示あり)を購入した場合、その購入額が年間12,000円を超えた額が所得控除(最大88,000円)されます。両制度の併用は不可、何れかの選択となります。
 以前は医療費領収書の添付または提示が必要でしたが、昨年から医療費通知(医療費のお知らせ)でも控除ができるようになりました。但し、通知の証明期間や内容に要件があるため、領収書も保存していただいた方が無難でしょう。

②この時期に駆け込み寄付をされる方も多いのではないでしょうか。実質2千円の負担で返礼品を受け取ることができると認知され、自治体の競争に拍車がかかったため、国が「返礼品は寄付額の30%を上限とする」通達を出したと報道されています。
 返礼品は時価相当額で評価し、一時所得として課税の対象になりますが実務上時価評価は困難なため、弊社は寄付額の30%相当額を収入として計算しています。
例)(寄付額200万円×30%-50万円(特別控除))×1/2=5万円(一時所得)

③「国税庁、スイスなど64か国・地域から海外口座情報55万件を受領」、「平成30年7月から富裕層の情報収集を強化」、これらは今年11月に税専門紙に掲載された記事です。経済の広域・複雑化に伴い、資産を海外に移す納税者が急増しており、税務当局は強い関心を持っています。
 12/31において保有する国外財産が5千万円(負債差引前)を超える場合は「国外財産調書」、所得金額が2千万円を超え、かつ、12/31において資産3億円以上または特例対象財産(有価証券等)1億円以上を有する場合は「財産債務調書」の提出が必要です。経営者が保有する自社株も対象のため、業績好調で評価増が見込まれる方はご注意ください。これらの制度は当局の資産運用に係る利益の把握は当然ですが、将来当事者が死亡した際の相続財産の把握にも有益な情報として管理されることは想像に難くありません。
 現在は調書の不提出に対して直接の罰則はありませんが、申告しなかった資産の運用益漏れが指摘された場合は加算税に加えて、割増、割引のインセンティブとなる規定があります。お客様個人の資産については担当者も把握できていないケースが多いので、先述の状況をご理解いただき、提出漏れのないよう担当者へのご協力をよろしくお願いします。

         (税理士法人アップパートナーズ 島原オフィス所長兼長崎オフィス税務相談室長・社員税理士 内田尚生)
(『月刊 アップ長崎・島原』2018年12月号より)