早いもので平成30年も最後の月となりました。来る平成31年(2019年)は平成最後の年でありますが、税の世界では、いよいよ消費税率引上げの年です。今回は消費税率が10%になるだけでなく、世間で話題の「軽減税率制度」という非常に厄介な制度が導入されます。
 ニュース等では、「飲食料品は軽減税率8%の対象」「酒類は除かれる」「外食は10%、ファストフードで持ち帰れば8%」「コンビニのイートインは?」などの各論的な話題が多く流れていますが、ほとんどは一般消費者受けする情報です。仕入れや販売を行う事業経営者の皆様には、この制度について、より総論的な内容を認識していただきたいと思います。
 そこで今月は軽減税率制度の導入までのスケジュールと概要をご説明します。なお、平成が終わるため、西暦で表示しています。

 【消費税引上げと軽減税率制度導入スケジュール】

 上図のスケジュールを便宜上1-4の段階に分け、これに沿って、期間中に生じることと対応について説明しましょう。

1.第一段階(~2019/9/30)
 2019年10月1日から消費税率が10%に引き上げられますが、今回も税率引き上げの経過措置があります。主なところでは同年3月31日までに締結した工事にかかる請負契約は引渡しが10月1日以降であっても旧税率8%で計算してよいという措置があります。経過措置の内容については、別紙1を見て、関連する経過措置がないか、ご確認下さい。
 また、別紙2-1で軽減税率の対象になる取引はどういったものがあるか確認し、自社取引において該当するものを把握しておいて下さい。ニュース等で取り上げられているように、基本的には飲食料品の譲渡新聞の譲渡飲食料品の輸入が対象となります。軽減税率の区分は判断が非常に難解で、実務上の大きな問題点ですので、取引内容について税理士事務所とよく相談してご確認下さい。
 併せて、複数税率対応レジへの入替えや受発注システムの改修といったハード面の対応についてもご検討ください。(軽減税率対策補助金があります)

2.第二段階(2019/10/1 ~ 2023/9/30)
 2019年10月1日から消費税率引上げと軽減税率制度の導入が始まります。現行からの変更点としては、①消費税率10%に引上げになる、②軽減税率8%対象取引との区分が必要になる、③区分請求書等保存方式が導入される、があります。
 ③については別紙2-2をご確認下さい。物品購入等の際に支払った消費税を消費税計算上の経費=仕入税額控除とするための要件として、事業者には帳簿と請求書等を保存する義務があります。区分記載請求書等保存方式が導入されると、請求書等に軽減税率の対象商品を区分記載しなければなりません。そのため、事業者としては、前述の通りレジやシステムの対応が必要となります。
 また、帳簿にも軽減税率対象取引を区分表示する必要があります。軽減税率対象取引が含まれる売上や経費については、請求書や領収書の内容に沿って税率別に分けて記帳しなければなりません。全体として確認や入力において経理事務作業が増大し、会計・税務監査の負担も大きくなります。

3.第三段階(2021/10/1 ~ 2023/9/30)
 2023年10 月1日から始まる適格請求書等保存方式(インボイス方式)制度の導入の前に、適格請求書を交付しようとする事業者は、①課税事業者であること、②この期間中に登録申請を行い、審査を受けてから登録番号をもらい、「適格請求書発行事業者」(以下「発行事業者」)になること、が必要です。経営上、この手続きが非常に重要です。インボイス方式が導入されると、登録番号を付した適格請求書でなければ取引相手は仕入税額控除できなくなるため、発行事業者でない事業者は取引相手からすると消費税計算上の経費にならない取引になってしまいますので、取引対象から外されるおそれがあります。

4.第四段階(2023/10/1 ~)
 正式にインボイス方式導入の際には、発行事業者の名称と登録番号を請求書等に記載しなければなりません。別紙2-4 を参照下さい。この登録番号は法人であれば法人番号を活用しますが、個人の場合はマイナンバーとは別に番号を準備するようです。

 今月はこれからの軽減税率導入スケジュールを簡単に説明しました。事業経営者はいつまでに何を行わなければならないかを認識し、早めに対応を検討するため、税理士事務所に相談して頂きたいと思います。

(社員税理士・長崎オフィス 業務部部長 内田裕二)
(『月刊 アップ長崎・島原』2018年12月号)