「クリニックを廃業することなく存続させたい」と願う代表者の皆様向けに、今回は親族(子など)への承継における対策についてまとめました。最小限の負担で円滑に事業を承継していくための【主な検討のポイント】を各項に挙げておりますので、ぜひご参照ください。

(1)個人診療所の事業承継対策

個人診療所の場合、院長の他の財産と同様にすべての事業用財産が税金の課税対象となります。死亡後相続による財産の移転は相続税の課税対象であり、生前の財産の移転は所得税または贈与税の課税対象です(注:必ずしも納税が発生するわけではありません)。

【主な検討のポイント】
・診療所の土地・建物の取り扱い
・医療機器等の取り扱い
・借入金の引き継ぎ
・院長の交代時期~給与・退職金の取り扱い

(2)医療法人の事業承継対策

医療法人では、個人診療所のように事業用財産そのものが課税対象になるのではなく、理事(長)の交代による「出資持分」の移転に対して課税が発生する点に特徴があります。ここでの留意点は、「出資持分」の評価対象が当初の出資額ではなく直前期の純資産額となることです。したがって医療法人の事業承継には、医療法人特有の対策が必要です。

【主な検討のポイント】
・医療法人の出資金評価の引き下げ対策
・出資持分の贈与による移転
・「持分なし医療法人」への移行

次回12月号では、【主な検討のポイント】の各内容について詳しくご説明します。

(医業経営コンサルタント・橋口明子『月刊 アップ長崎』2015年10月号より)