今月号では新年のスタートということで、平成28年に対応すべき経営課題や税制の動きについていくつかお伝えします(※昨年12月に公表された税制改正大綱の解説については次回以降の「UP!長崎」でお伝えしていきます。)。

1. 法人減税・個人課税強化

まず、税制面では「法人課税の引下げ(他方で課税範囲の拡大があります)」と「個人課税の強化」が近年の流れです。今後もこの方向で動いていくと思われます。
法人税率は現行23.9%ですが、平成28 年4 月1 日以後開始事業年度(平成28 年度)からは23.4%、平成30 年度からは23.2%、と段階的に引下げられ、平成28年度に羽地方税を含めた法定実効税率が20%台になります。
一方、個人への課税については、給与所得に係る概算経費である給与所得控除額が現行は給与収入上限額1500万円超(控除額上限245万円)ですが、平成28年分は1,200万円超(同上限230万円)、平成29年分からは1,000万円超(同上限220万円)と段階的に引下げられ、該当する給与所得者にとっては税負担増大となります。
また、昨年には相続税基礎控除が4割縮小されたため相続税課税対象者が拡大されましたが、このほか確定申告時に一定の所得者・財産保有者に対する財産債務調書の提出義務化といった動きもあります。
こうした方向性を踏まえますと、負担が大きい個人所得課税を増やすよりも、比較的負担が少ない法人への内部留保や保険活用による利益繰延(保険による資金貯蓄)を選択する方が、総合的・長期的視点からはより有利な判断と考えられます。

2. 消費税(増税・軽減税率・経過措置)

次に、消費税については税率10%への引上げと軽減税率導入は来年4 月1 日、インボイス方式の義務化は平成33 年4 月の予定(その間の経過措置として簡易方式を採用)になりましたが、今のうちから軽減税率導入にかかる情報収集、対応の検討などの準備は始めなければなりません。

昨年末に複数税率対応レジの導入のための補助金に対して予算が組まれたように、軽減税率導入対応のための補助金関連情報には今後も注視したいところです。また、軽減税率対象商品の洗い出し、商品管理・販売・請求システムの見直しや経理事務負担増大、税務リスクなどへの対策を練っておく必要があります。
なお、税率8%改定時に適用された税率引上げに伴う経過措置ですが、「安心して下さい、(今回も)入ってますよ!」。請負工事等は今年の9 月30 日までに契約締結すれば消費税率8%の適用になりますので、該当する取引を検討される際は期限にご注意下さい。

3. その他喫緊の経営課題(マイナンバー・ストレスチェック)

税制関係の動き以外では、今年からマイナンバー制度が本格的に開始することになり、従業員の入社・退社時の手続き(社会保険関係、退職所得受給申告書など)にマイナンバーが必要になります。取扱規程の作成義務は101 名以上の事業者となりますが、リスク回避上は義務いかんを問わず就業規則と合わせて作成しておくことが望ましいです。
また、昨年12月開始のストレスチェック制度は、対象事業者に該当する場合11 月までに実施が必要になりますので、実施体制や社内での役割を決めておくなど準備が必要です。

今年も自社の問題以外にも国の施策への対応など経営課題は山積みです。「UP!長崎」では毎号お客様の経営に役立つ情報を伝えて参りますので、是非経営者の皆様にはご一読頂きたいと思います。

(社員税理士・内田裕二『月刊 アップ長崎』2016年2月号より)