第7次医療法の改正に伴う「認定医療法人制度」のセミナーを、昨年の12月16日に実施しまして、参加者の方々にご好評を頂きました。この制度のポイントについて解説いたします。
認定制度の趣旨
医療法人の経営者の死亡により相続が発生することがあっても、相続税の支払いのための持分払戻しなどにより医業継続が困難になるようなことがないように、そして引き続き地域医療の担い手として、住民に対し医療を継続して安定的に提供していけるようにすることを趣旨としています。医療法人による任意の選択を前提としつつ、持分なし医療法人への移行について計画的な取組みを行う医療法人を、国が認定する仕組みを導入しました。
*制度期間:平成29年10月1日から平成32年9月30日(3年延長)
計画認定を受けた医療法人への支援
税制措置:
持分あり医療法人の持分を相続または遺贈により取得した場合や、持分あり医療法人の出資者が持分を放棄したことにより、他の出資者の持分が増加することで、贈与を受けたものとして他の出資者に「みなし贈与税」が課される場合、その法人が認定を受けた医療法人であるときは、これらの相続税、贈与税の納税を猶予(最大3年間)等される。(3年延長)
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認定を受けた医療法人の持分を有する個人がその持分の全部又は一部の放棄をしたことによりその認定移行計画に記載された移行期限までに持分の定めのない医療法人への移行をした場合には、放棄により受けた経済的利益については、贈与税を課さない。
融資制度:
認定を受けた医療法人における出資者や相続人からの持分の払戻しに対する資金調達として、経営安定化資金を融資する。(福祉医療機構)
今回の改正により、役員数・役員の親族要件・医療計画への記載等の要件などが緩和され、贈与税の非課税対象が大幅に拡大されています。これを機会に持分なし医療法人への移行を検討されてはいかがでしょうか。
なお、本制度の認定要件については、関係省庁か㈱内田会計事務所・経営支援部までお問い合わせください。
執筆者:入江暢博
税理士法人 アップパートナーズ長崎オフィス 業務部主査
株式会社 内田会計事務所 経営支援部 医療介護支援室室長