私の大好きな桜は3月に満開を迎え、入社式では葉桜が新入社員を迎えることとなりました。
弊社の近くにある稲佐外人墓地や稲佐公園等の桜を眺めながら、昼休みに散策を楽しみました。桜の花に魅せられた西行(さいぎょう:平安時代末期の僧侶・歌人)は、「花を待つ 心こそなほ 昔なれ 春にはうとく なりにしものを(桜を待つ気持ちは今もなお昔と変わらないものであるが、人の世の春に疎遠となったのは老いゆえであろうか…)」と自らの老いへの哀愁も歌に詠み上げました。
 「花の色は移りにけりな…」絶えず移ろいゆく時代の中、皆様におかれましてはお変わりなくお元気でいらっしゃいますでしょうか。

移りゆく時代に対峙する、変革への覚悟を

 「先の見えない時代」とは言われますが、明らかに見えていることもあります。それは「少子化と人口減少」です。未来の予測は難しいですが、人口動態だけはほぼ確実に予測が可能なので人口動態から予想されることは確実性が高いのです。
 そのため―①人手不足が加速するので生産性の向上が不可欠になる ②若手社員が少なくなるので年功序列の昇進・評価が成り立たなくなる ③高齢者や女性が活躍できる組織体制づくりが重要になる―これらについて真剣に模索していかければ、組織の存続が危ぶまれる、そのような時代がすぐそこに到来しています。
 生産性向上のためには、IT・AIの積極的活用や業務の標準化(属人化の排除)が欠かせません。過去の成功体験を捨て固定概念を打ち破り、経営の外部環境の変化に適応し組織に変革を与えることが必要です。そのためには自ら常に変化する覚悟を持つことです。

 長崎新聞(3/16)に松山市の明屋書店前社長小島俊一氏(出版取次業大手から出向)の講演内容が掲載されていました。明屋書店は愛媛県内を中心に80店舗を展開する大手書店ですが、出版業界の不況もあり経営不振で赤字続きでした。しかし一人もリストラすることなく再建を果たしました。
 その要旨は次の通りです。①「従業員は財産かコストか」…財産と考え、社員のモチベーション(士気)を上げてイノベーション(技術革新)を起こさせ、財産にしていく経営姿勢が必要 ②事業戦略を考えるうえで有効なのが「自分の会社は何を売る会社か、世の中でどんな役に立っているのか」を問い続けること ③将来が見通せない業界にとっては「変わらないこと」が最大のリスクになる ④経営の3要素は「(1)マネジメント(経営管理・人心掌握)」「(2)ファイナンス(財務・資金)」「(3)マーケッティング(売り物・売り方・売り先は時代のニーズに合わせて変化させる)」…業種に関わらず共通する経営の本質が語られています。

 欧米諸国では経営の本質を知り抜いている経営のプロがたくさんいます。「経営者」という職業が存在するのです。日産自動車を再建したゴーン氏はその典型です。日本企業の経営者の殆どは、社内での出世競争を勝ち抜いてきた人たちですが、叩き上げの経験則に基づくものとはいえ、その経営手腕は社内でこそ通用するとしても他社でも同じように通用するかは不明です。特に米国経営者たちの大半はMBA(Master of Business Administration:経営学修士号)取得者です。彼らは大学院で寸暇を惜しみ猛烈に経営に関する勉強をして経営のプロになります。企業も彼らを将来の経営幹部として高額な年俸で採用します。
 ちなみに、不動産ビジネスから富と名声を築き米国大統領になったトランプ氏も、MBAスクールランキングでは世界第三位のペンシルバニア大学ビジネススクール・ウォートン校の卒業生です。世界中を右往左往させているトランプ氏ですが、案外きちんと計算高い判断をしているのかもしれません。

 政官財共に、森友文書問題で混乱しています。「パッとしない人間には2種類ある。言われたことができない者と、言われたことしかできない者だ」とはあるアメリカ実業家の言です。かと言って、「言われる前にやる、言われなくてもする」…本来は相手の気持ちを慮る意であるはずの「忖度」も、一線を越すと大きな問題になる危険がありますね。

 一日の寒暖の差が激しい4月は「春バテ」の時季です。皆様ご自愛ください。

(代表社員税理士 内田延佳(『月刊 アップ長崎』2018年4月号 代表巻頭言より))