精霊船で賑わった長崎も新秋の頃となりましたが、残暑はまだまだ厳しいですね。皆様お元気でしょうか?

一事を極め、謙虚かつ柔軟な判断力を

4~6月四半期の企業業績が落ち、上場企業の6割が経常減益になりました。
海外で稼ぐ外需企業は円高で利益が目減りし、国内の消費意欲は停滞し中国人観光客の暴買いも沈静化して内需企業でも減益決算が相次いでいます。
企業は利益上積みに向けて様々な方策を講じています。トヨタやパナソニックは部品調達価格の引き下げや合理化を進める考えです。いずれも納入会社(中小企業=地域経済)に大きな影響を与えるでしょう。
また国外では、英国のEU離脱、中国経済の先行き不安、新興国経済の成長低下、国内においてはアベノミクスの行詰まり等々、経営を取り巻く環境は厳しいものがあります。
「もっと日本人のお客様を大切にしておけばよかった…」とは、暴買いに浮かれた東京の某百貨店幹部の談です。京都の老舗における商売の基本は「今のお客様を大切にすること。お客様が満足されたらそのご紹介で新たなお客様が増える」です。一見客(いちげんきゃく)を断るのは「今のお客様を大切にしたい」からです。「観光ガイドブックに紹介された飲食店がいつも観光客でいっぱいになり馴染みのお客様が来られなくなった。観光客一事を極め、謙虚かつ柔軟な判断力をはリピーターではないのでそのうち客数が減少し経営破たんした…」という話は良く聞きますね。一見客に依存する商売は長続きしません。身近なリピーター客を大切にすることこそが地域で生き残る秘訣なのです。
事業を経営する際に考慮しなければならないこと、それは人口です。原則は「人口増の地域=ビジネスチャンス増」、「人口減の地域=ビジネスチャンス減」です。ただ、年齢層の動向によって業種を選択することでチャンスを切り拓くこともできます。例えば、人口減地域でも高齢者増であれば高齢者向けのビジネスチャンスがあります。
特に大きな設備投資をする際には、その見極めが必要です。設備投資をする際の借入返済期間は通常10年以上です。そうであれば10年先、20年先のその地域の人口動態を想定して投資をしていかなければなりません。新規事業や設備投資を検討される時にはぜひ弊社にご相談ください。
ペナントレースたけなわである今の時期、TVでは毎日のようにプロ野球に関するニュースがメディアを賑わせます。横浜DeNAベイスターズ球団オーナーの南場智子氏はDeNAを創業し、日本を代表するIT企業に育てた名経営者です。「津田塾大学→米国留学(ハーバード大学院経営学修士:MBA)→マッキンゼーコンサルタント→パートナー(役員)就任→DeNA創業」、というエリートの典型的な経歴をお持ちです。下記はその南場氏のお話です。
①日本人は「答えは一つ」という教育を受けてきた。会社も社長が「答え」だと思ってしまうとバランスを欠いた組織になる。
②「思考の独立性」が重要、自分で考えて答えを導き出す訓練を積む必要がある。常識や過去の事例から導き出せることはすべて人工知能(AI)ができる時代。人間は新しい課題をどう解決するかという仕事をすべきだ。
③一つのことを極めた人は極めた分野に対して非常に謙虚。深めるという豊かな時間を過ごした経験は人間の厚みを増し仕事にも役立つ。
南場氏の言葉には、いずれも含蓄があります。よくかみしめながら、少し上手くいったからといって有頂天になることなく謙虚に仕事をし謙虚に人生を歩む、そのような者でありたいですね。

(代表社員税理士・内田延佳 『月刊 アップ長崎』2016年9月号 代表巻頭言より)