季秋の頃となりました。皆様お元気でしょうか。先月の長崎は「くんち」で盛り上がったひと月でした。「くんちばか」の私は今年も踊り町の庭見せ、諏訪神社での奉納演し物を楽しみました。380余年の歴史の重みを感じつつ「ヨイヤー」「モッテコーイ」の掛け声に血が騒いだ月でした。

 

『経営感性』と『健康経営』に企業経営の本質を見る

 私たちの主な仕事は、税務・財務・会計という数字を扱うことです。毎月の税務会計監査を実施して月次試算表・決算書を作成し、経営者に経営の実態を報告しています。

経営者のタイプには技術系・営業系・事務系と様々ですが、経理出身の経営者が少ないのは、数字を先読みし過ぎて必要な経営判断ができないからでしょう。経営は、理屈や数字だけでなく「KKD(経験・勘・度胸)」といったような『経営感性』で決断する時もあるのです。

以下は毎年増収増益を実現している、優良企業A社役員会での光景です。甲社長(技術系)・乙取締役(経理担当)・丙取締役(労務担当)の三者が額を合わせ、議論を交わしていました。

乙「今期も増収増益になりそうです。念願の10億円超の経常利益達成…この数字なら銀行も安心して設備投資資金を融資するでしょう。」

甲「銀行から融資を受けられるのは良いが、我々は銀行のために事業をしているのではない。それだけ利益が出ているのなら研究費にもっと資金を使うべきだ。増収増益が実現できたのは、自社製品の改良と新規製品の開発ができたからではないか。」

丙「利益を上げることは大切だと思いますが、社員への還元も検討していただきたいと思います。当社のような中小企業は特に人手不足感が強いものです。決算賞与等の還元があれば、モチベーションが上がるし人材募集もやりやすい。」

乙「企業の評価は決算書の分析で行われます。同業他社との比較で経営指標が低水準ですと、企業評価が悪くなります。当社の好評価を維持するためには、今の利益水準のキープが必要です。」

甲「一律に考えるのではなく、それぞれの企業に特性があってよいのではないか。当社は創業以来、研究開発をすることで独自の製品を開発できた。その積み重ねで今の増収増益体制を確立できている。研究費は必要だし研究開発を支えてきたのは現場の社員たちの努力の賜物…利益が出ているのなら社員に報いることも検討して良い、数字や比率だけで経営の良し悪しは判断するのは表面的な評価、企業の本当の評価はそれだけで判断できないと思う。」

 A社の話は経営者共通の関心事と思います。特に数字を仕事にしている私たちは、売上高・利益、経営分析比率等に目が行きがちです。しかし、数字や比率にばかり目を奪われると、経営の本質を見失うことになりかねません。時流を鑑み経営環境を取り巻く諸要素を総合的に勘案し適応していくバランス感覚こそが、経営者には求められるのです。

 日本経済新聞に「社員の健康を大切にする、業績も健康?」という、いわゆる『健康経営』についての記事が掲載されていました。「社員は会社にとって大切な存在なのに、財務諸表には資産として表現されない。」「優秀な社員がたくさんいる会社は業績も良く、世の中の状況の変動に対応できる。社員の健康に関する支出はコストであると同時に投資の要素が強い。社員が心身共に活き活き働ける会社は士気も高く、生産性が高い。」等々、数字だけでは測れないものの大切さが伝わってきます。「社員の健康度=会社の業績」そう言えるのかもしれませんね。

 

 私たちのグループ名である「アップパートナーズ」は、お客様・社員・事務所が共に成長発展(UP)するようにとの思いを込めて、社員たちが名付けました。初心を忘れることなく社員共々鋭意努力して参りますので、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

(代表社員税理士・内田延佳 『月刊 アップ長崎』2016年11月号巻頭言より)