何とか資金の減少を止めたい、資金は減らないけれどもなかなか増えない、徐々に資金が増えてはいるものの、将来投資を考えるともっと増やしたい…。

資金繰りは、経営者にとって最大の悩み事の一つだと思います。そこで、今月(2016年8月当時)は先日行われた研修で学んだ「資金繰り対策」から、以下の三つの対策をお伝えします。経営のご参考にしていただければ幸いです。

 

対策1.利益を出す。

 資金が減っていくということは、そもそも利益が足りていないということです。当たり前ですが、これが原理原則です。資金は赤字であれば当然減りますし、黒字であっても借入金やリースの返済がそれ以上に大きければやはり減っていきます。借入返済と納税を行っても資金が安定するだけの適正利益を出さないことには、企業の出血が止まりません。

 

 利益=売上-経費

 

これまた当たり前の話ですが、適正利益を出すためには①売上を増やす改善、②経費を減らす改善、を実行しなければなりません。

 

それでは、どこから着手するのが良いでしょうか?

損益計算書を見て頂きますと、下から「販売費及び一般管理費」(必要経費の見直し)→「人件費」(生産性アップ)→「売上原価」(売上原価率改善)→「売上高」(営業力・商品力・販売力の改善)と並んでいると思います。この並びが取り組みやすい順と言えます。

たとえば売上を増やそうとすると、外部の人間との取引ですので、経営者の判断ひとつ「エイヤッ!」で動かせるものではありません。一方、必要経費のうち交際費を減らそうと思えば、経営者の判断ひとつで減らすことができますので、見直しは比較的容易です。人件費も退職者が出た場合に補充を行わず、内部業務の効率化を行って残った社員でカバーできればコストダウンできます。

まずは取り組みやすいところから改善を始めても良いですし、それぞれに改善計画を立てて、同時に取り組んでも良いでしょう。まずは一つでも改善に動き始めること、その実績と成果をモニタリングすること(弊社担当者がサポートします!)が重要です。

 

対策2.現預金以外の資産科目をゼロに近づける。

 資金繰りに関して言えば、最良のビジネスモデルは、腕一本で行う商売、たとえば出張マッサージなどでしょう。設備投資も在庫もほとんどゼロですので借入は不要ですし、現金商売のため売上=入金のため、実に資金繰りが良いモデルです。このモデルの特長は、売上金や借入などで集めた資金が、現預金以外の形(売掛金、未収金、固定資産といった資産)にならずに、現金のままで流れていることです。

 そこで、自社の貸借対照表の現預金から下にある科目を見てみましょう。売掛金や未収金、貸付金、建物や器具備品、敷金など色々な会計科目があると思います。これらは現金が変わった姿です。できるだけ早く現金に戻すことで、その分の運転資金の借入は不要になり、資金繰りは改善していきます。

 

対策3.負債を増やす。

 資金不足が起こす弊害の一つは、経営者が明日明後日の資金のことばかり考えなければならなくなり、経営改善を熟慮する時間を取れなくなることです。そうなるとジリ貧状態になっていきます。

そこで、まずは資金調達をおこなって当面の資金繰りを改善し、これからの発展のための経営改善を考え、取り組む踊り場(時間)を確保しましょう。攻めのための借入です。

 資金調達のポイントは、「できるだけ多く」「できるだけ長期」です。特に長期にするほど月々の返済負担が軽くなりますので、資金が安定しやすくなります。

 

 これらの対策を通じ、経営に安定感を確保していきましょう。

(社員税理士・内田裕二 『月刊 アップ長崎』2016年8月号より)