確定拠出年金法が改正され、1月1日から制度に大きな変更がありました。大きな方向性として、拡大を行い加入を促す改正といえます。

 税制メリットの高いこの制度への加入を促すこの改正からは、「少子高齢化もどんどん進み、これから先は公的年金だけでは老後の生活は難しくなってくる。そうした背景の中で、経済・投資についてしっかりと勉強をし、自助努力で老後資産を形成してほしい」という国からのメッセージを強く感じます。

 また、実際に多くの方のライフプランニングや資産形成のお手伝いをしている私も同じ考えを持っています。

 今回は、加入を検討するための基本的知識として、大きく改正になった加入資格と、制度のポイントを今一度確認します。

 

【加入資格】

 表をご覧ください。左から個人事業主などが該当する国民年金1号被保険者、専業主婦(夫)などが該当する国民年金3号被保険者、会社役員・社員などが該当する厚生年金被保険者、(元)共済年金被保険者であった公務員に分かれます。

 まずはどの分類に該当するのかを確認します。そのうえで、個人事業主であれば国民年金基金への拠出を行っているのか、会社の役員や従業員であれば企業型の年金制度が存在するのかなどを確認します。それによって、加入の可否や拠出限度額がわかります。

 また、表にある企業型DCを事業所で採用することで、ご自身だけでなく従業員様の退職金準備を行うことも選択肢のひとつとなります。(企業型については方法もいくつかあり複雑ですので、まずはお問い合わせください) 

【制度のポイント】

①60歳まで毎月掛金を拠出する(積み立てていく)

②掛金を預金や投資信託などの商品群の中から選択し、運用していく

③60歳になると拠出は終了し、70歳になるまでの間に一時金受取か年金受取を選択し、受け取りを開始する

 概要としては以上で、老後へ向けて積立を行うという、これといって特別なことではありません。ただ、この制度を活用することで得られるメリットやデメリットがありますので、その点を整理しておきます。

 

●拠出金がすべて所得控除となる

 拠出した掛金はすべて所得控除となり、所得税の軽減効果があります。特に所得税率の高い方には大きなメリットといえます。

●運用益が非課税

 確定拠出年金では、拠出した掛金を元本保証商品だけでなく、いろいろな運用商品へ投資していくことが可能です(商品の種類や数、手数料等については金融機関によって様々です)。

 証券会社の口座等で株式や投資信託を売却し運用益が出た場合、利益に対して課税されます。しかし確定拠出年金の口座の中では運用益も非課税となります。これも大きなメリットです。

●受取時に税制優遇がある

 受け取る時は退職所得の扱いとなり、税制上の優遇があります。通常の退職金は勤続年数に応じて非課税枠が決定されますが、確定拠出年金では掛金を拠出した年数を勤続年数と読み替えて非課税枠を決定します。

 特に、新たに加入対象となった専業主婦(夫)にとっては、退職所得控除が使えるのは大きなメリットといえます。

●運用は自己責任

 拠出した掛金をどの商品で運用していくかは加入者自身で決定します。年金は長期的な運用ですので、短期的な値動きに一喜一憂せずじっくり運用していけば効果を得ることができます。ただし、絶対に拠出した掛金よりも増えるとは言えません。

●原則60歳まで受け取ることはできない

 原則として60歳までは受け取ることができません。あくまで老後資産の形成を目的とした積立として優遇措置が設けられていますので、途中で引き出して他の目的につかうことはできません。

 今後、教育費の増加や住宅取得など必要資金が大きくなる見込みがある場合には、加入するかどうかと合わせて拠出する金額もよく検討しなければなりません。

 

 税制上のメリットが大きい確定拠出年金ですが、受け取る場合の制限もありますし、自己責任によるところもあります。

 制度をよく理解し、ライフプランと合わせて加入の有無と拠出金額を検討していくことが大切です。

 FP事業部では制度の説明、ご加入の検討、ご加入中の方へのアドバイスと、いろいろなお手伝いをしております。ご興味をもたれたらぜひお声かけください。

㈱内田会計事務所 FP事業部 川本昇平
日本FP協会認定AFP
2級ファイナンシャルプランニング技能士
2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
住宅ローンアドバイザー
(『月刊 アップ長崎』2017年3月号より)