皆さん、こんにちは!

 今回は、昨年12月に発表された平成29年度税制改正大綱について主なものをピックアップしてご紹介します。現時点では法案が成立した訳ではありませんが、今後、内閣が税制改正法案として通常国会へ提出し、国会各委員会で審議採択され3月末までに成立しますと、4月から施行されることになります。

 

 1 配偶者控除・配偶者特別控除の見直し(所得税)

  平成30年分以後の所得税から、配偶者控除と配偶者特別控除が次のとおり見直しされます。住民税も同様に改正されます。

 

【図1:クリックで拡大】

 

  これによれば、配偶者の給与年収が150万円以下の場合、申告者は38万円の控除を受けられることになります。生産年齢人口が減少を続け人手不足を感じている企業が多い中、就業時間調整要因の一つであるいわゆる「103万円の壁」を取り払うことにより、積極的な就業を促し経済成長にも資することが期待されています。しかし、社会保険扶養範囲の「130万円(大企業は106万円)の壁」は変わらないため、30年以降はその「壁」の範囲内で調整する方が多くなるかもしれません。

  経済社会の構造変化を踏まえ、今後数年かけて基礎控除をはじめとする人的控除の見直しが行われるものと思われます。

 

  2 中小企業向け投資促進税制の改組(法人税)

  中小企業向けの投資に係る税制優遇に見直しや延長が検討されています。

  ⑴ 中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)を独立、中小企業等経営力強化法に基づく「中小企業経営強化税制」を創設(29.4.1~31.3.31)

  対象を建物附属設備、器具備品にも拡大(指定業種は未定ですが、中小企業投資促進税制の指定業種に変更がなければ、医療業も範囲内かもしれません。)

  ⑵ 中小企業投資促進税制から器具備品を除外、2年延長(~31.3.31)

  ⑶ 中小企業サービス活性化税制の2年延長(~31.3.31)

  ⑷ 税額控除は上記3制度の合計で法人税額の20%が上限 

   特別償却・税額控除は業種が指定され対象設備も限定されています。また、資産取得時に手続等を要する場合もありますので、設備投資をご検討の方は事前に担当者までご一報ください。

 

 3 取引相場のない株式(自社株、出資金)評価の見直し(資産税)

  29年1月以後の相続・贈与等から、類似業種の株価算定が見直され、配当金額:利益金額:簿価純資産価格の比重が、1:1:1(現行1:3:1)とされます。

 

【図2:クリックで拡大】

 

  配当が禁止されている医療法人や、内部留保の大きい純資産価格の大きい会社は比重が1/5(医療法人は1/4)から1/3(同1/2)になるため株価上昇の可能性があります。逆に利益の要素は3/5(同3/4)から1/3(同1/2)になるため、特別償却や退職金支給で多額の損失を計上しても株価への影響が小さくなります。シミュレーションのやり直しが必要なケースも出てきそうです。

 

  他にも評価会社の規模区分の見直しが行われ、「大会社」及び「中会社」の適用範囲が総じて拡大されるとされています。

 

 他にも、所得拡大促進税制の拡充、移行計画の認定を受けた医療法人の贈与税非課税措置、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の適用期限の3年延長、研究開発税制の見直し(法人税)、積立NISAの創設(現行制度との選択)(所得税)等が挙げられます。

 来月以降からは、税目別にシリーズで改正情報をお届けしていきます。アップパートナーズグループは、これからもお客様個々のご事情に応じた適切な情報を提供して参ります。ご興味・ご不明な点などありましたら、何なりと担当者までお尋ねください。

(税理士・内田尚生(税務相談室室長) 『月刊 アップ長崎』2017年2月号より)