2017年に入って一カ月が過ぎました。年末年始の慌ただしさが落ち着いた頃とは思いますが、これからは年度末を迎え再び忙しくなる方も多いかと思います。寒さの厳しい時季ですので、体調を崩されないよう十分にお気を付けください。

ふるさと納税のいいところ

 税理士事務所は2月から3月にかけて、確定申告の繁忙期を迎えます。最近は国税庁のホームページから確定申告書を作成することができるようになりましたので、簡単な申告は税理士に依頼せずご自身でされる方が増えてきました。税理士事務所としては市場が縮小したとは言えますが、「納税者が自ら申告して納税することで一人一人が国を支える主権者である自覚を持つ」という申告納税制度の本来の趣旨に照らすと望ましいことではないかと思います。

確定申告をすることで、一年間の納税額がハッキリします。給与から毎回源泉徴収をされている方々も、年間通算するとこれだけ税金を納めている、ということがわかります。高いと感じる方もいらっしゃるでしょう。

そして改めて、税金を無駄遣いせず世の中の役に立つように使ってほしいと考えるのではないでしょうか。仕事柄、お客様が苦労して上げられた利益の中から税金が納付されていることを知っていますので、築地市場や五輪関連など、何百億円もの税金が安直に投下される話を聞くと不愉快に思えて仕方ありません。

しかしながら、税金の使い途については納税者が直接決めることはできません。税金の遣い道を決める政治家を選挙で選ぶことはできますが、あくまで間接的に関わるだけで、本当に使ってほしいところに使われるかどうかは政治家に委ねるしかありませんでした、これまでは…。

 

ところが現代においては、「ふるさと納税」という寄附制度があります。ご利用の方も多いでしょう。この制度では確定申告時に、ふるさと納税の「寄附金受領証明書」を添付して税金の還付を受けるのですが、これを通じて寄附をする自治体や寄附金の使い途を選ぶことができます。正確には税金ではないのですが、実質的には税金の納め先や使い途を納税者が選べる制度ですので、私も過去に暮らしてお世話になった地域や震災の被害を受けた地域に、ふるさと納税制度を通じて寄附をさせていただいています。インターネットを使えば非常に簡単に手続きができます。

ふるさと納税には、インフラ整備の財源となるべき地方税収入の不安定化や、返礼品競争の過熱など、色々な問題点もあります。しかし、それでも私は非常に面白い仕組みだと思っています。

その理由の一つは、納税者が寄附金の使い途を選べるので、自治体は納税者に選んでもらえる地域振興プランを考える必要があること。地方自治体が知恵を絞る必要に迫られます。もう一つの理由としては、魅力的な返礼品を揃えるために、自治体が地域の魅力を一生懸命発掘していることです。ふるさと納税のおかげで地域の魅力に対する認知度アップにつながったケースは多いと思います。

ふるさと納税は一言でいえば、「地方自治体に競争原理を持ち込んだ仕組み」です。地方自治体の役割は本来競争原理に基づかないものですが、努力や工夫の余地を与えるという意味では、一部に競争原理を持ち込むのは良いことだと思います。人口や購買がより魅力的な都市に流れる「ストロー効果」という現象があるように、地方自治体間での競争はすでに存在しています。ふるさと納税で勝ち組・負け組の自治体があるのも、一種のストロー効果であると言えるでしょう。ふるさと納税には、地方自治体の競争力を問うテストのような役割があるように思います。

 

それはさておき、ふるさと納税は税金対策(税金が安くなるわけではないですが)としては非常に効果的です。利用されたことのない方は、今後の活用を検討されてはいかがでしょうか。

 

(所長税理士・内田佳伯 『月刊 アップ長崎』2月号 所長巻頭言より)