早いもので今年も2月になりました。日本経済新聞の記事に「ロシアでは2月を『光の春』と呼ぶ。気温はまだ低いが、日差しの力強さが次の季節を約束しているのである。美しい言葉だ」とあったのが印象に残りました。2月4日は立春、「春遠からじ」ですね。

 

1月のビッグニュースと言えば、アメリカの第45代大統領にドナルド・トランプ氏の就任です。各誌の見出しでは「米国第一主義宣言」「米国を偉大に、決意」「TPP離脱・NAFTA再交渉」「外交・経済を刷新」「我流の変革、高まる緊張」「オバマケア見直しも指示」「交錯する期待と危惧」「岐路に立つ日米同盟」「貿易自由化に歯止め」「雇用創出へ保護主義前面」等々、煽動的な言葉が誌面を躍っていました。

とにもかくにも話題性の高い異色の大統領が誕生したと言えるでしょう。見出しを目にするだけでも情景が推測されることですが、彼の言動に世界中が振り回されているのです。資源が乏しい貿易立国の日本にとっても、保護主義を打ち出すトランプ新政権の政策が気に掛かるところです。また日米安保条約のもと、日本に駐留している米軍の費用負担増も求められています。現在米軍駐留費の70%(7千億円)を日本が負担していますが、100%(1兆円)を負担するようになるかもしれません。

経営にも人生にも三つの坂…「のぼり坂」「くだり坂」「まさか」というものがあります。トランプ大統領の誕生は政治的な「まさか」ですが、今後経済的にも「まさか」が生じるかもしれません。しかし、我々においては彼の言動に右往左往するのではなく、「知性・理性・冷静さ」で対処して参りましょう。「あせるな、じっくり構えよ」です。

 

地方の企業においては、地域のお客様を大事にしましょう。長崎県の人口減少は確実で市場こそ縮小することでしょうが、地域のお客様に支持されている企業は生き残ります。経済の先行きが不透明な現代にあっては、地域密着主義、今のお客様を大事にすること、低金利でも過大な投資を避けること、です。企業存続の秘訣は、地道にお客様第一を貫くことです。

建機業界の雄・コマツの相談役(元社長)の坂根正弘氏は、業績が低迷していた危機的状況を見事乗り越えV字回復を実現させました。その坂根相談役は、「コマツは『全ステークホルダー(利害関係者)からの信頼の総和』を企業価値と定義している。全ステークホルダーとは、社会・メディア・株主・金融機関・顧客・協力企業・販売代理店・社員などを指すが、その中でも顧客だけは特別だ。なぜなら顧客から頂いた売上、利益を他のステークホルダーに分配しているのだから」と、顧客の重要さを強調しています。厳しい時代を体験しているからこそ、「企業経営はお客様が最重要」と認識しているのです。

 

2月16日~3月15日は、私たち会計業界にとって一年間のうち最も多忙な所得税確定申告の時期です。日常業務に支障が無いように、社員一同協力しながら努力して参りますので、諸事情をご賢察いただければ幸いです。

私事ですが70歳になりました。「人生に定年はありません。老後も余生もないのです。死を迎えるその一瞬までは人生の現役です。人生の現役とは自らの人生を悔いなく生き切る人のことです。そこには『老い』や『死』への恐れはなく『尊く美しい老い』と『安らかな死』があるばかりです」とは、道元禅師の唱えた言「安身立命(あんじんりゅうみょう)」です。これを噛みしめながら、人生の現役を歩んで参りたいと思います。

経営者は健康が全てです。健康は、良い人生・富・知恵、…あらゆる幸福をもたらします。しばらく寒い日が続きます。皆様ご自愛ください。

(代表社員税理士・内田延佳 『月刊 アップ長崎』2017年2月号 特別寄稿より)