今年も私の大好きな桜の季節が近づいて参りました。桜の季節は卒業・退職などの別れの季節でもあり、その一方で入学や就職などの出会いの季節でもあります。人生の節目の出来事が多いゆえに四季の中でも印象深い時季ですね。春一番も来ました。寒い日々もあと一息、乗り越え美しい春を迎えましょう。

地域・国際社会の危機とのかかわり

 長崎市は全国2位、長崎県は全国5位、これが所得水準なら嬉しい順位ですが、残念ながら人口の流出超過順位です。2016年の総務省人口移動報告によると長崎市から1,547人、長崎県から5,573人が流出しています。

人口減の原因は社会減…「雇用不足」です。高校・大学を卒業した前途有望な若者たちの就職先が不足しているのです。これには産学官を挙げての対策が急務です。若く優秀な人材が地元で就職できるよう知恵と工夫が必要であると思います。雇用対策にもっと真剣に取り組まなければ、「消滅可能性都市」への懸念が現実味を帯びてきます。「人口減少→市場縮小→売上減→事業規模縮小(廃業増)→雇用者数減少→人口減少」この悪循環に陥る危険性があるのです。  

開業医の御子息(医師)が「長崎に戻って父親の事業を承継したいが、長崎市は人口減が顕著、返済期間20年の設備投資をしても将来患者数が確保できないのでは?」とのお考えから、福岡市近郊での開業を検討されたという事例もあります。

人間の身体に例えれば企業は社会を構成する細胞のようなもの…細胞が弱ると身体(社会)も衰弱していきます。「新卒者を採用した企業には一人100万円の雇用助成金を支給する」くらいの思い切った予算対策を検討する論者はいないものでしょうか。

 

 国際社会に目を向けますと、米国トランプ大統領が世界を振り回しています。ビジネス界出身であるだけに、その価値観・判断基準には「取引」=「計算」という思考回路が働いています。

「一つの中国」が暗黙の了解だった慣例を破って台湾の蔡英文総統と電話会談をしたり、イスラエルの米国大使館をテルアビブからエルサレム(ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地、国連決議で国際管理地)への移転を宣言したりしています。

東京工業大学の池上彰教授は「一見唐突なトランプ大統領の行動や考え方には『計算』が働いている。中国は最大の貿易赤字国、日本やドイツとは比較にならない。赤字解消へ行動を期待して揺さぶっている。イスラエルへの思惑も透けて見える。米国には金融界やメディアに強い影響力を持つユダヤ系有力者が大勢いる。大統領の地位を盤石にするうえでこれらの人びとの協力は欠かせない。自国最優先の『米国第一主義』は実にわかりやすいキーワードだ」。「ただし、人種や宗教、国家といった歴史が関わる複雑な課題への配慮には決定的に欠けるように思う。慣例や秩序をいきなり破壊してしまうのは、思いがけない緊張や混乱の原因になりかねない。取引外交の危うさを感じる」。…そう述べています。

日本も、貿易や安全保障で緊密な関係にある米国の動きから目が離せないと思います。

 

 明るい話題にも目を向けてみましょう。ゴルフファンには吉報です。松山英樹選手が米男子ゴルフのフェニックス・オープンでのプレーオフを制し、日本勢の単独最多となる米男子ツアー通算4勝目を挙げました。これも、本人のたゆまぬ努力によって得られた技術と集中力の賜物でしょう。まだ24歳の若さ、今後のさらなる活躍が楽しみですね。松山選手の自室には「才能は有限、努力は無限」と書いた色紙が壁に貼ってあるそうです。努力は人を裏切らないのです。

 

 2月初旬にクラウド会計の研修のため札幌に出張しました。最高気温マイナス2度、最低気温マイナス7度、あたかも冷凍庫の中にでもいるかのような生活を体験しました。九州育ちの私には、雪国での生活・仕事の環境は厳しいと感じました。明治時代に九州から移住した方々のご苦労に思いを馳せた3日間でした。

 一日の寒暖の差が激しい月です。皆様ご自愛ください。

(代表社員税理士・内田延佳 『月刊 アップ長崎』2017年3月号 代表巻頭言より)