平成30年度税制改正において、従来からあった「所得拡大促進税制」について、「支援を深堀りするとともに、制度をシンプルにし幅広い企業の活用を推進」する改正が行われました。
 下表では、中小企業者等(資本金1億円以下の法人等)の現行制度と改正案とを比較しています。


 このように、現行制度では3つの要件を順次クリアしていく必要がありましたが、改正案では下線部のみの要件と、シンプルになりました。これによって、基準期間との比較から前年度との比較になったため、前年度がない新設法人については適用ができなくなりました(実に残念!)。
また、平均給与の対象になる継続雇用者の考え方も見直しされ、当期及び前期の全期間の各月に給与支給がある雇用者となります。つまり、2期まるまる在職している方の平均給与で判定することになりました。
 他方、税額控除枠は10%→15%へ拡充され、適用時の恩恵が大きくなりました(※ただし、法人税額の20%が控除の上限額となります)。

 以下、改正案での適用モデルを見てみましょう。
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例:雇用者の給与等支給総額 前期3,300万円→今期3,500万円
 うち、継続雇用者 10名  前期3,000万円→今期3,060万円
 うち、非継続雇用者2名  前期 300万円→今期 440万円
①要件判定
・29年度:3,000万円÷(10人×12ヶ月)=平均給与25万円
・30年度:3,060万円÷(10人×12ヵ月)=平均給与25.5万円
・30年度/29年度=25.5万円/25万円=1.02→伸び率2.0%≧1.5%
→要件クリア。
②税額控除額
3,500万円-3,300万円=増加額200万円→200万円×15%=税額控除30万円(ただし、上限は法人税額×20%)
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 所得拡大促進税制は企業の経費の中でも大きな金額を占める給与・賞与をベースに計算するため、適用できれば大きな節税になります。ご提供しています月次報告書の「前期比較損益計算書」で給与・賞与が増えている場合には適用可能性があります。加えて経営者の皆様の感覚として、一人一人への平均支給額が上がっているようでしたら、早めに計算してご活用を検討されてみてはいかがでしょうか。
 詳細は是非、弊社担当者にご相談下さい。

(社員税理士・業務部長 内田裕二『月刊 アップ長崎』2018年4月号より)