皆様、こんにちは!

今回は昨年12月に閣議決定された税制改正大綱の概要について、主なポイントをお知らせします。

 

【個人所得課税】

「給与所得者・富裕層に対する課税強化」、「副業や兼業等の多様化する働き方の支援」←ポイント!

10・5・3・1(トーゴーサンピン)、9・6・4(クロヨン)という言葉を聞いたことはありますか。給与所得者は自営業者に比して税務当局の所得捕捉率が高く誤魔化しようがないということを揶揄した表現ですが、そもそも領収書がなくとも一定の額を必要経費にできるという側面もあり、これを多少なりとも是正しようという趣旨です。いわゆる高給取りの方にとっては、給与所得控除と基礎控除の引き下げでダブルパンチです(平成32年分から適用)。

⑴ 給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の見直し

給与所得控除・公的年金等控除の控除額を一律10万円引き下げ、基礎控除の控除額を一律10万円引き上げる(最低給与所得控除65万円→55万円)。

給与所得控除について、給与収入上限額1,000万円をさらに850万円に引き下げ、これを超える場合の控除額を195万円に引き下げる。ただし、子育てや介護に配慮する観点から、23歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族を有する者等に負担増が生じないよう措置を講ずる。

基礎控除について、合計所得2,400万円超で控除額が逓減し、2,500万円超で「0」となる仕組みを導入する(48万円→0円=地方税を含めた税率55%として264千円の負担増)。

 

【資産課税】

「事業承継税制の拡充」、「一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し」、「中小企業の設備投資促進」←ポイント!

経済産業省の試算では、平成37年には6割以上の経営者が70歳を超え、後継者不在の中小企業は全国で127万社と言われており、後継者の確保やスムーズな事業承継を要件緩和により後押ししています。

また、近年一般社団法人等を利用した相続税・贈与税の回避スキーム(手法)が目立っており、当局はこれを租税回避として問題視しています。

⑴ 事業承継税制の拡充

30年4月から5年以内に承継計画等を提出して贈与・相続による事業承継を行う場合、

①猶予対象株式制限(総株式2/3)の撤廃、
②納税猶予割合引き上げ(80%→100%)、
③雇用要件は5年後に平均8割を満たさない場合であっても、理由を記載した書類を都道府県に提出することで猶予を継続、
④対象を複数(最大3名)の後継者に対する贈与・相続に拡大

など、経営環境の変化に対応した減免制度の創設等の措置を講ずる(平成30年1月~39年12月末適用)。

⑵ 一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し

同族関係者が理事の過半を占めている一般社団法人について、その同族理事の一人が死亡した場合、当該法人の財産を対象に、当該法人に相続税を課税する(平成30年4月1日以後に適用)。

⑶ 設備投資に係る固定資産税の減免措置の創設

「革新的事業活動による生産性の向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の制定を前提として、市町村が主体的に作成した計画に基づき、かつ、労働生産性(一人当たり付加価値)を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた、平成33年3月31日までに行われた中小企業の一定の設備投資について、固定資産税の課税標準を3年間ゼロ以上1/2以下とする特例措置を創設する。

⑷ 小規模宅地等の特例の見直し(厳格化)

小規模宅地等の特例について、

①持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲の縮小、
②貸付事業用宅地範等の範囲の縮小、
③介護医療院に入居したことで被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の、敷地の用に供されていた宅地等

を特例の対象とする。

 

【法人課税】

「賃上げ・生産性向上のための税制」←ポイント!

 引き続き、一定の設備投資やデフレ脱却に向けた一層の賃上げを促進する措置が盛り込まれています(平成30年4月~33年3月末に開始する各事業年度に適用)。

⑴ 所得拡大促進税制を改組

「給与の総支給額が基準年度(24年度)と比して一定割合以上増加」の要件を廃止、要件を「平均給与等支給額が対前年度比1.5%(大企業は3%)以上増加」とし、控除税額は給与等支給増加額の15%(控除前税額の20%を上限)とする。なお、対前年度比2.5%以上増加し、かつ、教育訓練費増加等の要件を満たす場合の控除税額は25%(同)とする。

⑵ 情報連携投資等促進に係る税制を創設し、「革新的事業活動による生産性の向上の実現のための臨時措置法(仮称)」に基づく設備投資に対して、特別償却又は税額控除を可能とする。

 

適用には中長期的な計画が必要なものもあります。個別に影響のありそうな項目については、担当者までお尋ねください。

(税理士・税務相談室室長 内田尚生『月刊 アップ長崎』2018年2月号より)