出資持分は財産権です!

社団医療法人は、「持分あり医療法人」と「持分なし医療法人」とに大別されます。「これらの違いは?」と言うと、医療法人のオーナーが「財産権」を持っているか、持っていないかの違いです。すなわち、出資持分は「財産」なのです!

それでは、「医療法人のオーナーの財産権」とは何でしょうか?

1、出資持分の払戻請求権

 出資者=社員が退社する(=法人の所有権を手放す)ことを要件として、医療法人に対する出資額に応じた持分の払戻しを請求する権利。

2、残余財産分配請求権

 法人を解散する際、出資者が医療法人の残余財産の分配を出資額に応じて受ける権利。

相続対策とどう関係があるの? 

例えば、出資者A氏がお亡くなりになったとします。A氏は、現金預金、土地や建物などの財産がありました。これらの財産を相続人の長男Bが相続することになりました。ここでいう「財産」で忘れてはならないのは、「出資持分」です。相続人Bは、その他の財産と一緒に「出資持分」も相続し、医療法人に対して「払戻請求権」を行使します。この際、医療法人に持分相当額を支払う現金預金があれば問題は生じません。
しかしこのように、出資持分に対して相続税が掛かったり、持分の払戻し請求が起こったりすると、医療法人が存続できない事態に陥りかねません。そこで、持分なし医療法人の移行を計画的に促すため、平成26年度「認定医療法人制度」が創設されました。
ところが、認定医療法人制度によって持分のない医療法人へ移行すると、出資者の相続に係る相続税は猶予・免除されますが、その一方で

原則として医療法人に贈与税が課されます。非課税にできる制度もあったものの、そのためには高いハードルの要件がありました。
10月から適用開始となった今回の改正は、その要件が大きく緩和され、移行がし易くなったと言われています。例えば、従来あった「役員のうち親族は3分の1以下」や「病院、診療所の名称が医療連携体制を担うものとして医療計画に記載されていること」等の要件はなくなりました。

相続対策として出資持分を放棄した場合に、医療法人に贈与税が課税されない条件が緩和されましたが、「出資持分の放棄

」とはすなわち冒頭でお伝えした二つの権利、「出資持分の払戻請求権」と「残余財産分配請求権」の放棄を意味します。
適用に当たっては、個々のご事情に合った対策を慎重に吟味する必要があります。また、認定の要件や認定後の報告義務についても十分な理解が必要です。
ご検討の際は、担当者へご相談いただければ幸いに存じます。

(医業経営コンサルタント 橋口明子『月刊 アップ長崎』2017年10月号より)