〔登場人物 A:会社社長 B:顧問税理士〕

(2016年11月号より続き)

Aあと、生命保険を活用しての贈与については、何か注意する点はありますか。

Bテーマである贈与の「成立」という観点から申し上げます。よくある事例として、子が親からの資金を元に、自身を契約者とする生命保険契約を結んだ2つのケースを考えてみましょう。

A はい。どのようなケースですか。

B 一つ目は、まず(振込などの方法により)親が子にお金を渡し、子がこれを元手に自身を契約者とする生命保険契約を締結したケースです。この場合は、お金を渡した時点で、親から子への現金贈与が成立したと考え得ると思います。

A そうですね。

B 二つ目は、親が子を契約者として、保険会社へ直接保険料を支払ったケースです。この場合、支払時点で贈与は成立しておらず、その保険契約自体は、親の実質財産と考えられることが多いようです。

A つまり、いわゆる名義借り(名義は子になっているが実体は親のモノ)という考え方ですか。

B前回までお話ししたように、本来贈与は、当事者双方の意思の合致から始まり、その財産を受遺者(子)が管理・支配している等の実体を伴うものです。よって、「贈与」の成立のために、これらの事実を証明することは非常に重要となるのです。

Aなるほど、実際に贈与を行ったつもりでも、税務上認められるためには、十分注意が必要ですね。

 (本テーマ終わり)

(税理士 田上孝博(税務相談室主査) 『月刊 アップ長崎』2017年8月号より)