税務署の異動は7月です。
長崎県は福岡国税局が管轄しており、職員は原則として北部九州3県(福岡・佐賀・長崎)で転勤を繰り返すことになります。3 県には離島3 署を含め31の税務署がありますが、内18署が福岡に集中しており、長崎県内の税務署に異動した職員は殆どが単身赴任となり転居を伴います。よって落ち着くのは7月下旬以降、すぐにお盆がやってきて、税務調査はお盆過ぎから本格化することになります。

今回は税務調査で必ずと言っていいほど確認される交際費についてお話しします。
「取引先とのゴルフ、飲食等々、接待交際であるには違いないが自分もそれなりに楽しんだ…経費で落としたいがどこまで落とせるのか分からない」という経営者は多いでしょう。
実は、交際費は原則「損金にならない」のです。法人税は利益にかかるもので、外部に出ていったお金にまで税金がかかるのはおかしいという気もしますが、税法の考え方では交際費は「冗費」つまり無駄遣いという性格があります。これをそのまま経費として認めていては、「今年は儲かったから、税金払うくらいなら使ってしまえ!」となりかねないという考えがあります。
しかし、日本は接待という風習が根強くあり、業務に全く無関係とは言い切れません。そこで、一定のルールの基に損金算入が認められている訳です。

①資本金1 億円超の大企業……交際費の内、飲食費の50%の額
②資本金1 億円以下の企業……交際費の内、飲食費の50%又は800万円のいずれか多い額
③個人事業主……所得税法上は制限なし(但し、事業関連性は厳しくチェックされます)

飲食費の一部を損金として認めているのは、景気の指標とも言われる飲食業への配慮でしょう。交際費を800 万円も計上できる企業はそう多くなく、実質全額損金にできるということになります。では、交際費を経費として落とすためには何に気を付けたらよいのでしょうか。具体的には3点あります。

1、接待先と事業との関連性

交際費を払うのは、取引先と今後も良好な関係を継続していく、また今は取引がなくとも今後の取引を期待する等の意図があるからです。分かり易いのは下請企業が元請先の担当者を接待するなど、売上に密接な関係が認められる場合です。
必ずしも接待先が売上に反映されていなければならないということはありませんが、その場合はその交際費が事業へどのように良い影響を及ぼすのか、または見込まれるのかを説明できるようにしておかねばなりません。接待先が10年前に一度商品を売っただけのお客様では関連性は認められないでしょう。

2、形式を整える

お金を払えば領収書は貰えますが、家族や個人的な付き合いによる飲食は当然不可です。材料や外注費であれば事業に関係があるということは分かりますが、交際費は領収書だけでは判断ができません。領収書に接待先の「○○㈱、○○部長ほか○名」等をその都度、遅くとも記憶のあるうちにメモして、相手先を明らかにできるようにしておきましょう。特に少額飲食費(1人当たり5,000円以下)で処理する場合は、この記載が要件になります。

3、社会通念上(常識)の範囲(金額の妥当性)

取引先と二人で100万円の飲食となればさすがにやり過ぎという感は否めません。また、年間売上が20万円の顧客に対して30 万円も交際費を使っていては、これも指摘を受けるでしょう。しかし取引額に応じた内容であれば、高額であっても絶対不可ということもありません。

交際費を必ずチェックされるのは、事業と関係のない個人的なものが混入し易いからです。明確な基準がなくグレーな領域のため、税務調査では争いになるケースが多いのが実情です。
先述のポイント「事業関連性」、「形式」、「金額の妥当性」をしっかり押さえていただき、本来は経費(損金)処理できるはずのものが否認されることのないよう参考にしてください。
なお、判断に迷うケースについてはお気軽に担当者にお尋ねください。