登場人物  A:会社社長  B:顧問税理士

A:来年から「財産債務調書」を提出しなければならないそうですが、どのような制度ですか?

B:簡単に言うと、個人が有する財産の種類、価額等並びに債務の金額などを記載した調書を、毎年所得税の確定申告書の提出期限までに提出する制度です。国税庁HPでは、所得税・相続税の申告の適正性を確保する観点から創設された制度との説明ですが。

A:すべての人に義務付けられるのですか?

B:いいえ。対象となるのは、所得金額が2千万円を超え、かつ、3億円以上の財産を有するなど一定の条件に該当する方です。

A:なるほど。いわゆる富裕層の人達ということですね。何か留意点などありますか?

B:そうですね。まずは、毎年12月31日現在の現預金、不動産、有価証券、貴金属、骨董品その他すべての財産及び借入金などの債務の残高をご自身で把握して頂かなければなりません。更に、これらについて「時価」(一般に取引が通常成立すると認められる
価額など)を算定する必要があります。

A:場合によっては、専門家に鑑定評価を依頼しなければなりませんね。

B:あと特徴的なのものとして、期限内に提出がない場合や記載内容が不十分な場合に、それらに関して所得税の申告漏れが生じたときには過少申告加算税等が5%加重(増額)、また逆に、記載していたものに関して、所得税・相続税の申告漏れが生じた場合には5%軽減(減額)という賞罰措置が設けられている点も挙げられますね。

(税理士・田上孝博(税務相談室主査)『月刊 アップ長崎』2015年12月号より)