前回10月号では、「クリニックを廃業することなく存続させたい」と願われる代表者の皆様向けに、最小限の負担で円滑に事業を承継するための【主な検討のポイント】を列挙しました。続きまして今回は、そのうちいくつかについて詳しくみていきましょう。

(1)個人診療所の事業承継対策

【主な検討のポイント】
 ・診療所の土地・建物の取り扱い
 ・医療機器等の取り扱い
 ・借入金の引き継ぎ
 ・院長の交代時期~給与・退職金の取り扱い

診療所の土地建物・医療機器で院長(親)名義のものは、子に売却するか贈与することにより子の名義に変えることができます。また個人事業の場合、勇退する院長(親)に退職金の支給はできませんが、承継後も診療を継続されるのであれば、子である院長から給与を受け取ることができます。

(2)医療法人の事業承継対策

【主な検討のポイント】
 ・医療法人の出資金評価の引き下げ対策・出資
  持分の贈与による移転
 ・「持分なし医療法人」への移行

医療法人の場合は、相続税や贈与税の課税対象となる出資金評価額を引き下げる対策が重要です。一番のポイントは「利益を計画的に減らしておくこと」です。
理事長報酬の増額やタイムリーな退職金の支払いなどは対策上有効です。出資持分の贈与による計画的な移転もご検討ください。また、「持分なし医療法人」への移行も対策の一つです。将来の相続税負担が軽減されます。

ただし上記の対策(1)・(2)ともに、一定の要件を満たすことができなければ贈与税・所得税などが発生することもあります。また、現預金の支出が伴う場合は資金繰りにも注意が必要です。詳しくは、弊社担当者へご相談いただければ幸いです。

(医業経営コンサルタント・橋口明子『月刊 アップ長崎』2015年12月号より)