今回は、平成28年3月31日公布された「所得税法等の一部を改正する法律」を中心に、消費課税関連事項のうち、主要な項目についてお伝え致します。

(はじめに)
既にご存知の通り、平成27年度税制改正において、平成29年4月1日以後の取引については、消費税率が8%から10%に引き上げられることとなっています。上記消費税率は、正確には消費税率及び地方消費税率からなりますが、正式な税率は次の通りとなっています。

  現行 平成29年4月1日
(標準税率)
消費税率 6.30% 7.80%
地方消費税率 1.70%
(消費税額の17/63)
2.20%
(消費税額の22/78)
合計 8.00% 10.00%

1. 軽減税率制度の導入

消費税率の引き上げに伴い、今回の改正において、軽減税率制度が導入されることとなりました。

(対象品目) 飲食料品及び新聞
(税 率)  8.0%(国税6.24%地方税1.76%)

軽減税率の対象品目のうち、飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除く)をいいますが、外食やケータリング等は除かれます。又、新聞とは、定期購読契約に基づき週2回以上発行するものをいうと規定されています。
尚、これらの品目の詳細や制度の概要などについては、国税庁(消費税軽減税率制度対応室)より、「消費税の税率制度に関するQ&A(制度概要編)」と「同(個別事例編)」が公開されていますので、そちらをご参照頂くとよいでしょう。

2. 帳簿及び請求書等の記載と保存(区分記載請求書等保存方式)について

3. の適格請求書等保存方式導入まで(平成29年4月1日から平成33年3月31日まで)の措置として、「区分記載請求書」の保存が必要となります。この区分記載請求書とは、おおよそ、現行の請求書等に加え、①軽減税率の対象品目である旨及び②税率ごとに合計した対価の額が記載されたものをいいます。ただし、ベースとなるのは、あくまで現行の請求書等保存方式のままです。

(平成28年4月国税庁『消費税の軽減税率制度が導入されます』より引用)

尚、売上げ又は仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者に対しては、一定の計算特例があります。

3. 適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の導入

平成33年4 月1日以降は、2.の区分記載請求書等に代えて、「適格請求書等」の保存が仕入税額控除の要件となります。すなわち、適格請求書等がなければ、仕入税額控除が受けられなくなるのです。
ここで問題となるのが、適格請求書等を発行できる事業者となるためには、税務署長の登録が必要になる点です。登録のためには、課税事業者であることが要件となりますので、免税事業者は、適格請求書等を発行することができず、その取引先は仕入税額控除を受けることができません。免税事業者が適格請求書等を発行するためには、課税事業者を選択する必要が出てくるかもしれません。
現在、仕入税額控除が受けられないため、免税事業者との取引を取りやめる事業者が出てくることが危惧されています。免税事業者の方は、このまま免税事業者でいくか、それとも、敢えて課税事業者となるのか。今後、選択の時が来ることが予想されます。
尚、平成39 年3 月31 日までは、免税事業者等からの課税仕入れについては、一定割合を仕入税額として控除できる内容の経過措置が設けられています。

4. その他

①輸出物品販売場制度の見直し(平成28年4月1日以後)
 外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充のため、免税販売の対象となる購入下限額が引き下げられるなどしています。
②高額特定資産を取得した場合の中小事業者に対する特例措置の適用関係の見直し(平成28年4月1日以後)
 本則課税期間中に、高額特定資産の仕入れ等を行った場合には、(通常)3事業年度は事業者免税点制度及び簡易課税制度を適用しないこととされました。
③簡易課税のみなし仕入率の見直し(平成27年4月1日以後開始事業年度(通常平成28年3月末決算)から)金融業及び保険業を第5種事業としみなし仕入率を50%へ、不動産業を第6種事業とし同率を40% へそれぞれ改正する。
 以上、消費課税の主な改正点についてお伝えして参りましたが、10%への消費税率引き上げをはじめ、当面は、今後の動向を注視していく必要がありそうです。