皆様は、故・渡辺和子さんという方をご存知でしょうか? 2012年にベストセラーとなったエッセイ集『置かれた場所で咲きなさい』の著者で、岡山市の学校法人ノートルダム清心学園の理事長でした。昨年12月30日、89歳で天に召されるまでの生涯にわたって、多くの方に希望のメッセージを説いていかれました。
 私が渡辺さんを知ったのは、通称『金スマ』というテレビ番組の特集を通じてでした。本のタイトルは書店で見かけたことがありましたが、シスター(修道女)が書いた本とは知らずにおり、初めてテレビで内容に触れました。番組で紹介された言葉一つ一つが心に残り、今でもその感動は響き続けています。

  渡辺和子さんの著書には、沢山の名言が記されており、どれも心を打つ内容ばかりです。その名言の中で、接遇に通じる言葉を2つご紹介します。

  ①もしあなたが誰かに期待したほほえみが得られなかったら、不愉快になる代わりにあなたの方からほほえみかけてごらんなさい。実際、ほほえみを忘れた人ほど、ほほえみを必要としている人はいないのですから。

  ②私のほほえみは無駄になっていない。神様のポケットに入ったのだ。

  接遇研修の時には、「挨拶」の項目を常に入れています。「挨拶は自分から進んでしましょう」と伝えています。とはいえ、挨拶をしても返事をされない方や無愛想な方など、身の周りにはいないでしょうか? 本人には、挨拶が聞こえなかったのか、または考え事をしていたのか、色々事情はあったのかもしれませんね。
 そんな中でも、渡辺和子さんの言葉を知っていると、挨拶が返ってこなくても心痛むようなことは少なくなるかもしれません。挨拶が返ってこなかった分、神様のポケットに入ってどこか遠くの人に届けば、決して無駄にはならないという考え方のようです。

  また、渡辺和子さんは「~してくれない」という「くれない族」を止めることの大切さも説いています。「挨拶をしてくれない」「子どもが言うことを聞いてくれない」等、ついつい「~してくれない」という思いを持ってしまいがちだったといいます。ところが、この考えをやめると少し楽になったそうです。
 物事の捉え方一つで感じ方も変わっていきます。参考になれば幸いです。

(接遇インストラクター・奥田彰恵(社会福祉士・介護福祉士)『月刊 アップ長崎』2017年5月号より)