現在、世の中は空前の相続ブームです。テレビや新聞ではひんぱんに特集が組まれ、本屋では相続に関する本が多く並んでいる、そんなご時勢です。昨年1月に相続税法の大きな改正が行われ基礎控除が大幅に引き下げられたことで、私達が受注する相続税の申告件数も去年までの約5 倍に跳ね上がっている状況です。

最近業務に携わる中で、遺産分割がうまくいかず特に兄弟姉妹間で「相続」が「争族」になっているケースが散見されます。なぜ仲のよかった家族間でも揉めることになってしまうのでしょうか? 理由はいろいろあるかと思いますが、大きな原因の一つとしては「財産が平等に分けられない」ことが考えられると思います。
財産の大部分が現預金であれば平等に分けることが可能ですが、土地や家、株式、貴金属など現実的にはほぼ平等に分けられないものがほとんどです。特に、相続財産の50%超を占める土地や建物などの不動産は、分割することは困難ですし、「とりあえず」ということで一旦共有名義にしてしまうと、後々名義人が増えて大きな問題が発生します。
また、経営者が所有している自社株式は、兄弟姉妹で平等に持分を相続すれば良いかと簡単に考えてしまうと大変です。たとえば、長男が社長となった場合には他の兄弟姉妹と同じ議決権しかありませんので、長男以外の全員が結託すると株主総会で社長を解任されてしまう恐れもあります。
他にも相続開始時に存在する財産だけでなく、生前に親が子供のために使ったお金についてまで不平不満を言い出す方もいらっしゃいます。例えば、「お兄ちゃんは東京の私立の大学に行ってお金がかかったけど私は高校を卒業してすぐに地元で働いた」とか「○○だけ家を購入するお金を出してもらっていた」「△△だけ結婚式の費用を出してもらっていた」など…。
そもそも平等の概念が立場によって違ってくるため、全員が納得する平等というのはないのかもしれません。

それでは兄弟姉妹は必ず揉めることになるのかというと、もちろんそのようなことはありません。実務に携わって感じるのは、円満な相続になるのか「争族」になるのかは、生前の親の考えが子供にしっかり伝わっているかどうかで決まってくる、ということです。そのためには遺言書や「エンディングノート(人生の後半で、自己の人生や後生への思いなどを書き綴るノート)」に親の想いを遺し伝えることが必要であると思います。
「遺言書の必要性はわかるけれども、死に向かっての準備みたいでなかなか気が進まない…」と思われる方は、まずは相続について考える入口としてエンディングノートを利用してみてはいかがでしょうか? 当社でも『笑顔相続ノート』というエンディングノートをご準備しています。笑顔相続ノートは「愛する家族と自分自身へのメッセージ」です。決して暗いイメージではなく、ご自分の人生の棚卸でもあり、今後の人生を豊かに前向きに生きていくために書くものです。
取り組まれた皆様には「書いてみてよかった」と言って頂いています。法的な効力はありませんが、相続発生後の財産の取り扱いだけではなく、家族への想いやお世話になった方への感謝の気持ち、他にも葬儀方法、生存中の延命治療や介護の方法など自由に記入することができます。「いきなり書こうと思っても書けないよ…」と思われる方にも取り組みやすいように練習帳がセットになっています。まず笑顔相続ノートでご自分の気持ちを整理し、これからの人生を活き活きと送っていきましょう!

相続に関することでお悩みの方は、相続手続支援センターまでお気軽にご相談下さい。初回のご相談は、1時間まで無料で承っております。

(事業承継支援室・平井健太朗『月刊 アップ長崎』2016年9月号)