昨年9月に成立・公布された医療法の一部改正法のうち、医療法人制度の見直し関係が、平成28年9月1日から施行されることになりました。医療法人制度の見直しや、改正に伴う定款変更の必要性など、今回の改正ポイントについてまとめてみました。

医療法改正の概要

今回の改正のポイントを簡単に言えば、「地域包括ケアシステム導入」と「医療法人のガバナンス強化」です。このうち医療法人理事長職の方々が注目すべきは、「医療法人のガバナンス強化」です。
ガバナンスとは、組織を管理し適正に運営することです。一般の株式会社では、不透明な取引と会計処理を行ったとして、役員に対する株主代表訴訟が新聞やテレビで報道されていたのを目にされた方も多いのではないでしょうか。
医療法人についても、これまで明確にされていなかったものが明文化(=もちろん、これまでもこうあるべきではあったのですが…)されたと言えるのでしょう。

明文化された主な内容:

① 医療法人の業務執行する理事は、医療法人に  対して忠実義務(法令・定款・社員総会決議 等を遵守して忠実に職務を執行する義務)を負う。
② 善良な管理者としての注意義務を負い、もし理事が任務を怠ったことにより医療法人や第三者に損害が生じた場合には、医療法人に対して損害賠償責任を負う。
③ 理事長は年に2回以上、自らの業務の執行状況について理事会に報告しなければならない。
④ 理事は利益が相反する行為を行う場合には、社員に説明・報告し理事会の承認を受けなければならない(特別代理人制度はなくなりました)。
⑤ 社員総会の議事については、議事の内容や議事録を保管すること(社員総会の日から10年間保管)。

今回の改正では、定款に記載することによって、要件が緩和できるものがあります。
定款の変更は施行日から2 年以内に変更に係る認可申請を行います(社会医療法人及び大規模法人は速やかに行うことが望ましい)。
また、医療法人の役員と特殊の関係にある事業者(MS法人)との取引がある場合は、その状況に関する報告書を都道府県知事に届け出る必要があります。

「ガバナンスの強化」は、議事録のみを整備しておけば良いという考え方ではなく、会議を開催して、日々の運営をしっかりと実施することが求められている、といっても過言ではありません。「医療法人はより公益性を求められている」という認識のもと、運営体制を見直す良い機会ではないでしょうか。
手続等につきましては、随時ご案内をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
詳しくは、弊社担当者にお問い合わせください。

(医科グループ長・橋口明子(医業経営コンサルタント)『月刊 アップ長崎』2016年12月号より)