春は、新しい社員さんが入社したり、学生さんがアルバイトを始めたりする時季です。そんな中、気になるのが、「バイト言葉」と言われる言葉遣いです。ひとまずお客様を不快な思いにさせないために遣われる、ていねいな印象の言葉です。以前は、若いアルバイト店員や学生アルバイトが主に遣っていましたが、最近では世代・性別を問わず広く浸透してしまっているようです。

そこで、今回はバイト言葉の一例をご紹介します。

①「よろしかったでしょうか」
×「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」
○「ご注文は以上でよろしいでしょうか」
この言葉、ファミリーレストランやコンビニエンスストアでよく耳にします。遣っている本人は、間違っているとは思っていないようです。今の要望についてお伺いするのに「よろしかった」と過去形では違和感がありますので、現在形「~でよろしいでしょうか?」を遣いましょう。

②「~の形(に)なります」
×「30分ほどお待ちいただく形になります」
○「30分ほどお待ちいただきます。よろしいでしょうか」
ていねいな言葉にしたい気持ちがおありなのでしょうが、「なる」は「変化」の動詞です。「待たせる」というお客様にとって不都合な事情を伝える際に、「お待ちいただくことになります」のような表現だと、回りくどい印象です。
「30 分ほどお待ちいただきます」の前に、「大変申し訳ございませんが」などクッション言葉やお詫びの言葉などを入れると、少し柔らかい表現となり、相手に対する印象も良くなります。

③「~(に)なります」
×「こちらが会議の資料になります」
○「こちらが会議の資料でございます」
×「領収書になります」
○「領収書でございます」
先ほどの例と同じく、「~なります」という表現は「変化」を表します。当然ですが、領収書はお金と商品とのやり取りで化けるといったものではありません。
例えば、「弊社は創業50 周年になります」といった場合なら、時の流れに応じて変化したということで正しい表現です。

ついつい遣ってしまう言葉はありませんでしたか? 
ファミリーレストランやコンビニエンスストアを利用するとよく耳にする言葉ばかりで、適切な敬語と思われがちですが、実際にそうとは言えないものです。これからは、店員さんの言葉遣いによく耳を傾けて聴いてみると、おもしろい発見ができるかもしれませんね。

(接遇インストラクター 奥田彰恵『月刊 アップ長崎』2017年3月号より)