社会福祉法人の多くは法人税や消費税の申告・納税義務がないことから、税務調査が自分たちには関係がないものと思われがちです。しかし、給与を支払う法人である以上は源泉徴収義務があるため、「源泉所得税」の調査を免れることができません。そこで、今号では源泉所得税についてのポイントを、「1.給与の支給」、「2.報酬・料金の支払い」の2点に絞ってお伝えします。

1.給与の支給

 役員や職員等に対して支払った「給与」(…給料手当や賞与など、名称を問わず労務の対価等となるもの)の支払いがあれば源泉徴収しなければなりません。

ポイント
① 給与から控除する源泉徴収額の算定基礎となる税額表は、扶養控除等申告書提出の有無によって適用する欄が異なります。入社時と年末調整の時期には、従業員のみなさんからこの申告書を必ず回収しておきましょう。
② 「給与」の範囲には注意しましょう。少し極端な表現ですが、基本的には法人から役員や職員等に対して渡す金銭や物品は「給与」=源泉徴収対象扱いになるものと考えておけばわかりやすいと思います。理事や評議員への車代についても、その実態が交通費の実費相当額でないようでしたら、給与扱いとし源泉徴収の対象であるものと指摘される場合があります。
ただし、以下の金銭・金品の支給は給与として扱われず、課税されません(※ 要件など詳細については弊社担当者に事前にお尋ねください)。
[金銭の例]
 ・非課税限度額内での通勤手当
 ・1回4,000円までの宿日直料(ただし、通常業務時間とする人には課税されます。)
 ・夜間勤務者の勤務1回につき300円以下の夜食代
 ・結婚・出産等祝金、香典や見舞金(ただし、支給根拠となる慶弔見舞金規程を設けておきましょう。)
[現物(金品)の例]
 ・制服等の支給
 ・使用者が支給する食事について半額以上負担した場合の食事(月額3,500円が限度)
 ・永年勤続記念品等(10年以上勤務した人に対するもの)
 ・役員や職員等のレクリエーションのための会食、旅行、運動会等の費用

2.報酬・料金の支払い

 講演会や演奏会等の催しに招いた演者、指導や講習に来ていただいた講師に支払った謝金や講演料・講師料、士業への報酬など、個人に対するものについては源泉徴収をしなければなりません。

ポイント
○たとえ車代の名目であっても、報酬・料金の性質を有するものには源泉徴収義務の対象となることにご注意ください。一方、そうでないもの…例えば講師の旅費交通費を交通機関やホテル等に支払った場合などは、源泉徴収をしなくても差し支えないものとされます。

(社員税理士・内田裕二 福祉グループ発行誌『Partner』2015年秋号)