介護事業者と印紙税

 今日は、介護事業者と印紙について話をしてみたいと思います。
 印紙税とは、印紙税法に定められた課税文書を作成した時にかかる税金です。介護事業者の場合、注意する必要があるのは契約書と領収書ではないでしょうか。
 それでは、介護事業者が作成・発行する契約書・領収書と印紙の関係について見てみましょう。

契約書と印紙税

 まずは、契約書です。介護事業者が介護保険制度の下で作成する次の①~⑯の契約書は、原則として印紙税法の課税文書に該当しないため、印紙は必要ありません。

①居宅介護支援サービス契約書及び付属書類
②訪問介護サービス契約書及び付属書類
③訪問入浴介護サービス契約書及び付属書類
④訪問看護サービス契約書及び付属書類
⑤訪問リハビリテーションサービス契約書及び付属書類
⑥居宅療養管理指導サービス契約書及び付属書類
⑦通所介護サービス契約書及び付属書類
⑧通所リハビリテーションサービス契約書及び付属書類
⑨短期入所生活介護サービス契約書及び付属書類
⑩短期入所療養介護サービス契約書及び付属書類
⑪認知症対応型共同生活介護サービス契約書及び付属書類⑫特定施設入所者生活介護サービス契約書及び付属書類
⑬福祉用具貸与サービス契約書及び付属書類
⑭介護福祉施設サービス契約書及び付属書類
⑮介護保健施設サービス契約書及び付属書類
⑯介護療養型医療施設サービス契約書及び付属書類

 印紙税法で印紙が必要となる契約書は、主に民法上の請負契約書です。請負契約とは、「当事者の一方が仕事の完成を約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払う」ことです。

しかし、介護事業者が作成する上記の契約書は、原則として、利用者の要望に沿った介護サービス計画に従い、利用者が全体として適切な介護サービスの提供を受けるために記載されているものと考えます。そのため、印紙税がかからないことになります。

 ただし、裏返して言えば、上記以外の契約書は印紙が必要な場合がありますので、ご注意ください。

領収書と印紙税

 次に、介護事業者が発行する領収書ですが、こちらは原則、印紙が必要になります。これは、領収書が印紙税法に定める「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当するからです。
 ただし、次の場合は、印紙税は非課税になります。

①地方公共団体そのものが作成者であるもの
②記載された受取金額が万円未満のもの(法定代理受領の場合は、利用者負担分(通常は1割)の額)
③営業に関しないもの(例えば、その領収証の作成者が「公益法人(財団法人、社団法人、社会福祉法人又は医療法人等)」であるもの及び(注)「特定非営利活動法人(NP0法人)」等であるものはこれに該当します。)
(注)NPO法人は特定非営利活動促進法により設立が認められた法人であり、いわゆる会社以外の法人に該当します。

考えられるケースで言えば、株式会社、有限会社、合同会社などが発行する領収書で5万円以上のものは印紙が必要、社会福祉法人、医療法人などが作成する領収書は金額にかかわらず印紙は不要といったところでしょうか。

印紙税を納めなかったとき

 印紙税の納付は、通常、作成した課税文書に収入印紙を貼付け、消印することによって行います。
 課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には、その納付しなかった印紙税の額とその2倍に相当する金額、すなわち当初に納付すべき印紙税の3倍に相当する過怠税が徴収されます。
 なお、調査を受ける前に、自主的に不納付を申し出たときは1.1倍に軽減されます。
 また、印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には、消印されていない印紙の額に相当する過怠税が徴収されます。
 過怠税は、法人税や所得税の必要経費にはならない為、注意が必要です。
 これまで作成された契約書・領収書はいかがでしょうか?もう一度見直しの際、ご参考いただければ幸いです。

 

【参考・引用】

・平成12年3月17日 厚生省老人保健福祉局 介護保険制度施行準備室長 事務連絡(介護サービス事業者等と利用者の間で作成する契約書及び介護サービス事業者等が発行する領収証に係る印紙税の取扱いについて)
国税庁ホームページ(ホーム>税について調べる>タックスアンサー>印紙税その他国税>印紙税>No.7131印紙税を納めなかったとき)

(福祉グループ長・松村清人『Partner』2017年新春号より)