社会福祉法人の改革を主軸とした社会福祉法等の一部改正案が衆議院本会議で可決され、いよいよ改正案成立の見通しがつきました。一部改正とは言うものの社会福祉法人の経営組織のガバナンス強化や事業運営の透明性の向上等の改革、または、介護人材の確保を推進するための措置が講じられるなど、改正内容は社会福祉法人にとって重要なものとなります。改正案の内容は大別しますと「社会福祉法人制度の改革」と「福祉人材の確保の促進」に分かれ、前者の重点項目は次の5つです。

①経営組織のガバナンス強化
②事業運営の透明性の向上
③財務規律の強化
④地域における公的な取組を実施する責務
⑤行政の関与の在り方

今回はその中でも、社会福祉法人制度改革について、組織運営の改革のポイントを述べさせていたただきます。

まず、ガバナンスの強化として、これまで意見聴取の場であり諮問機関として設置されていた評議員会が、決議機関として必置することになり、理事、監事及び会計監査人の選任等の重要事項の決議を行うことになります(ただし、小規模法人については経過措置があります)。評議員の定数についても、従来は理事総数の2倍超でしたが、改正案では理事の員数を超える数で足りるものの、役員(理事・監事)や法人職員を兼ねてはならないことになります。

次に、一定規模以上の法人は会計監査人を置かなければならなくなります。この一定規模とは、年間の収益が10億円以上であること、又は、負債が20億円以上であることです。また、新設法人の場合は定款で会計監査人を定めなければなりません。このことからも会計監査人の設置については重要事項となります。さらに会計監査人の要件について掘り下げると、公認会計士又は監査法人でなければなりません。これまで税理士・税理士法人に依頼している法人にとっては、会計監査人の報酬額がオンコストとなることになりますので、内部監査体制を含めたチェック体制の見直しが必要になります。

その他の気になる改正ポイントとして、新たに社会福祉充実残額(再投下財産額)を明確化した上で、社会福祉充実計画を作成しなければならず、その計画を実施事業年度前に所轄庁へ提出し承認を得ることが必要となります。この計画には実施事業や区域、期間と費用の額と言った具体的な事業計画が必要になります。この社会福祉充実計画の作成にあたっても、法人内部と外部の財務や会計に精通している方の意見が必要になるのではないでしょうか。

最後に具体的な施行日について、平成29年4月1日となっていますが、上記の②と③の一部については平成28年4月1日からとなりますので、法人によっては情報収集と検討が必要になってきます。その準備は「いつやるの?」と問われますと、「今でしょっ!!(古っ)」となります。「マイナンバー」と併せて今からご準備をお願いします。

(医療介護課課長・入江暢博 福祉グループ発行誌『Partners』2015年秋号より)